ヨドバシカメラのソーダストリーム販売を支える公安警察

ガザに自由を! パレスチナに公正な平和を!
イスラエル・ボイコット≫マラソンデモ
(2014年11月12日〜12月24日)
http://palestine-forum.org/event/201411-bds.html
※最終日24日にはヨドバシ梅田前でジャーナリスト志葉玲さんのガザ現地報告があります!
(プロジェクターによる映像付、6時半頃から)


■だんまりを決め込むヨドバシカメラ

43日間にわたるマラソンデモもいよいよ残す日にち僅かとなってきました。このマラソンデモを始めるにあたって私達はヨドバシカメラに対して要請書を11月10日付で送付しましたが何ら返答はありませんでした。
参考)ヨドバシカメラ宛要請書(ページ末尾)

さらに、12月7日には「ストップ!ソーダストリーム」キャンペーンの有志数名でヨドバシ梅田を訪ね、ソーダストリームについて店長ないし然るべき責任者との話合いを要請しようとしました。いきなり売り場に行って店員を驚かしても良くないと思い、まずインフォメーションセンターにいた警備員の方に要件を伝えました。すると、アポイントメントがないとつなげられないとのことだったので、そのアポを取りたいのですがというと、責任者が来るのでお待ちくださいと言われました。

■驚愕の「騙し討ち」

ところが、それから20分ほど待たされた挙句、いきなり曽根崎警察署員がやってきて、「あなた方が居座っていると通報を受けて来たのですが・・・」という驚愕の騙し討ち的展開に直面しました。私たちが「責任者が来ると言われたので待っているだけです」というと、警官もよく事情を呑み込めず、どう対応したらよいか分からないといった様子でした。一体どういうことかと先の警備員に説明を求めたところ、もう一人の警備員から、インフォメーションセンターでは商品についての苦情は受け付けないことになっているので、直接店員に話をするか、電話で問い合わせてくださいと警察官もいる前で言われました。

そこで4階の売り場に移動し、ソーダストリームの実演販売をしている売り子さんに要件を伝えると、担当者を呼ぶのでちょっと待ってください、と言われました。それで待っていると、今度はひどく慌てた様子の曽根崎署の公安警察官一名と共に施設管理会社の職員が顔を引きつらせてやってきました。そして一切私達の要件を聞こうともせずに、営業妨害だからすぐ出ていってください、と言われました。公安警察も一方的に管理会社職員の主張に肩入れし、両者の意見を冷静に聞いて公正・中立の立場から物事を判断しようとする余裕がまるでありません。先に対応した警備員や警察官との連携もまるでなっていませんでした。

私たちが、商品について意見があれば店員に直接聞いて下さいとインフォメーションセンターで言われて来ただけなのですがといくら言っても、迷惑だから今すぐ出てってください、との一点張りです。そこで、その管理会社職員に、私達と話をしたくないというのはヨドバシカメラさんの御意向でしょうかと尋ねると、施設管理会社として言っています、ということで、あくまでもヨドバシカメラの意向を示す必要はないという姿勢でした。あまりにも基本的なコミュニケーションが成立しない状況に呆れ、私達はとりあえずその場から撤退しました。公安検察の方が、「マラソンデモと全然違う時間帯に来たから驚いた。打ち合わせでもしていたのか」と、まるで的外れの感想を漏らされていたことにも脱力させられました。はっきり言って、警察など関わらず、ヨドバシカメラがごく常識的な顧客対応をしていれば、何ら混乱は起きていないはずです。

■「対テロ特別警戒案件」のソーダストリーム販売

このとき私たちは、ヨドバシカメラの店舗内で抗議行動をしようとした訳ではまったくなく、単に担当者に意見を伝えたいのでそのためのアポをとりたいと言っただけなのですが、誰もその要件そのものについては「イエス」とも「ノー」とも責任をもって答えようとせず、ひたすら排除あるのみ、という対応でした。ヨドバシカメラのホームページには、「店頭でのお客様からのご意見、ご要望を各店のスタッフがおうかがいします」、「店頭でおうかがいしたご意見、ご要望に対して、きちんと対応します」と書いてあるのですが、現実とのあまりのギャップに頭を抱えざるを得ません。イスラエル入植地製品ソーダストリームに関する意見・要望についてだけは、ヨドバシカメラは説明責任を完全放棄して、警備会社・施設管理会社・公安警察へのアウトソーシングでやり過ごそうとしているかのようです。
参考)「お客様の声」がヨドバシカメラの原動力(ヨドバシカメラ)

しかし、警備会社や施設管理会社はヨドバシカメラの下請けをしている訳なので、彼らがどれだけ酷い対応をしようと、ヨドバシカメラの責任として追及できますが、公安警察ソーダストリームヨドバシカメラの顧客対応の肩代わりをしているという現状は全く別の意味で深刻な問題です。本来警察は、日本社会の安心・安全のために税金を託されているはずであって、外国製品のブランドイメージや一民間企業の利益を保護・促進するために仕事をしているということはあってはならないからです。

ここで考えなければならないことは、ソーダストリームに対する市民的意見表明が、「イスラエル批判=潜在的テロ」という超短絡マニュアル思考でもって「対テロ案件」に自動振り分けされてしまっているということです。特定秘密保護法の施行によって、あらゆる市民運動潜在的テロリストとして扱われることになった現在、何を今更という話かもしれませんが、ヨドバシカメラが、ソーダストリームに対する意見・要望を、自社の責任範囲外の対テロ案件として公安警察の対応に丸投げして済まされるという現状には、パレスチナにおける人権問題もさることながら、日本における民主主義的市民社会の崩壊状況を感じずにいられません。この問題に責任をもって向き合おうとする人間がいないという意味で、原発問題と同様「責任者不在」なのです。

■あらためて問われる日本政府の対パレスチナ政策

ここで確認すべきことは、この問題に対する日本政府の姿勢です。過去4年間の間に外務省は、大臣談話および報道官談話として実に25回もイスラエル入植地拡大批判を繰り返しています。2013年3月には、「入植地から得られる企業利益を終結させること」という国連調査団による勧告の履行を求める国連人権理事会決議(A/HRC/RES/22/29)に日本は賛成票を投じています。つまり、政府が対外的に示している公式立場は、イスラエル入植地製品ソーダストリームの輸入販売は中止されるべき、というものなのです。これは、EU諸国をはじめとした国際社会の動きに足並みを合わせた態度ということもできます。
参考)【重要】国連人権理事会調査団、全入植地の撤退と入植地ビジネスの終結を要請

しかし、その一方、とりわけ安倍政権以降の日本政府は、イスラエルとの関係強化を目指し、特に軍事やサイバーセキュリティ分野での協力関係を深めています。そのため、入植地を違法とするジュネーブ第4条約の締約国として当然の帰結である入植地製品輸入禁止を論理上支持する姿勢と、9条改憲アベノミクス破綻先延ばしに貢献し得るイスラエルとの軍事・サイバーセキュリティ協力の強化という相矛盾する対イスラエル政策が併存しているのです。
参考)第1回 日イスラエル・サイバー協議の開催(外務省)

先日ガザから来日されたパレスチナ人権センターのラジ・スラーニは、NHKの「こころの時代」の中で作家・徐京植からあなたの法的正義への確信はどこから来るのかと問われ、法の支配・民主主義・人権は、人類が世界大戦の経験から導き出した何にも勝る収穫物なのだと答えています。憲法9条(1946年)も、世界人権宣言(1948年)も、ジュネーブ諸条約(1949年)も、在日朝鮮人に対する弾圧やパレスチナにおける民族浄化といった反動の只中で示された法的正義の貴重な前進といえます。現在、日本とイスラエルの政権を握っている人々は、この「収穫物」を廃棄しようとする動きの最先頭に立っている訳です。世界を恣意的に「人間」と「テロリスト」とに二分して管理しようとする植民地的「無法の法秩序」と、国際法憲法9条に示された法的正義のどちらがこれからの未来の基調となるのかが、今まさに問われているといえるでしょう。日本におけるパレスチナ連帯の行動の意味もそこにあるように思います。
参考)こころの時代〜宗教・人生〜「ガザに“根”を張る」(NHK)


【参考記事】
ソーダストリームのどこが問題?
何ができる?
ソーダストリーム回収キャンペーン:知らずに買ってしまった!という方へ
ソーダストリームが違反している可能性のある国内法規

【お薦め動画】
パレスチナからのメッセージ:ソーダストリームを買わないで下さい。
なぜソーダストリームを買ってはいけないのか? ―パレスチナ人にとっての入植地
なぜソーダストリームを買ってはいけないのか? ―パレスチナ人にとっての入植地(その2)
なぜソーダストリームを買ってはいけないのか?(その3)
なぜソーダストリームを買ってはいけないのか?(エドワード・サイード編)