BDS(ボイコット、資本引き揚げ、経済制裁)でガザを効果的に支援する5つの方法
2012年11月18日
パレスチナBDS全国委員会
今回の新たなガザの人びとに対する攻撃が示しているように、イスラエルは、パレスチナ人やレバノン人、他のアラブの人びとに対する犯罪について重い代償を払わされない限り、戦争行為と国家テロを止めることはありません。
パレスチナの市民社会は、国際市民社会及び世界中の良心をもつ人びとが、パレスチナ人の闘いに連帯を示すためのもっとも効果的な手段として、また、イスラエルとすべての共犯組織に、その占領・植民地化・アパルトヘイト政策についての責任を負わせるためのもっとも効果的な手段としてBDS(ボイコット、資本引き揚げ、経済制裁)キャンペーンを呼びかけてきました。
パレスチナ人のイニシアチブによる、グローバルなBDS運動は、印象的かつ見事な成功をおさめてきました。イスラエルの犯罪に加担する企業に経済的損害をもたらし、アーティストのイスラエル公演を説得して止めさせ、大きな教会組織や労働組合、社会運動の賛同を勝ち取り、そして、各国政府が行動を起こすよう圧力をかけてきました。
ここに、ガザおよび他地域のパレスチナ民衆との連帯を効果的に示すためのBDSの5つのやり方を示します。
※以下、日本でのアクション向けに内容をアレンジしています。
1.イスラエル製品をボイコットしよう!
イスラエルの輸出品がもらたす利益は、イスラエル政府の歳入を潤し、パレスチナ人に対する犯罪行為に資金を提供することになります。イスラエル製品を買うことを拒否し、小売店にそのことを伝えて下さい。
- ソーダストリーム(家庭用炭酸水メーカー):「ソーダストリームのどこが問題?」「なにができる?」
- スウィーティー・イスラエル産切花:緑色のグレープフルーツ、スウィーティーは100%イスラエル産です。毎年11月から2月頃にかけてスーパーや百貨店で販売されています。イスラエルの切花輸入会社の最大手は、クラシック社です。これらのイスラエル産農産物は、入植地ビジネスを支える占領協力企業ビッケル社やメハドリン社を通じて輸入しています。
- 死海の泥などを使ったコスメ商品:イスラエルは、パレスチナ人が死海にアクセスする権利を拒否し、その資源を奪っています。SABON(サボン)、FARAN(ファラン)、デッドシースパなどがブランド店をオープンしています。SABON Japanは、2012年2月、イスラエル大使館及び日本イスラエル商工会議所から「日本・イスラエル・ビジネス交流貢献企業表彰」を受賞しています。
- インテルのCPUが入ったパソコン:破壊されたパレスチナ人の町イラク・マンシーヤの土地の上に作られた工場Fab28ではCore 2 Dueシリーズ等のマイクロプロセッサーが生産されています。
2.イスラエル支援企業の製品をボイコットしよう!
- ヒューレット・パッカード社は、占領下のパレスチナ人を管理するためのイスラエル軍検問所における生体認証システムを開発し、納入しています。(参考記事)
- その他のボイコット対象企業は、「注意深くお金を使うために」(パレスチナ情報センター)をご参照ください。
3.アパルトヘイト協力企業に対する直接的な圧力をかけよう!
パレスチナの人々を抑圧するシステムに加担することで利益を得ている企業や組織に対して具体的圧力をかけてください。
- ソーダストリームの輸入代理店シナジートレーディングは、これまで、イスラエル入植地で製造されている同製品の違法性についての市民からの質問・抗議を一切無視しています。また、イトーヨーカ堂は、同製品の全国展開に全面協力しています。(「ソーダストリームのどこが問題?」「なにができる?」)
- キャタピラー社は、パレスチナ人の家屋破壊に用いられるブルドーザーを供給しています。アメリカのキャンペーンは、同社からの資本引き揚げをするよう、メジャーな企業年金基金に圧力をかけています。(キャタピラー・ジャパンの連絡先はこちら)
- ヴェオリア社は、違法なイスラエル入植地でインフラ(路面電車、ゴミ処理場)を供給・管理している企業ですが、世界中の公共団体が、同社との公共事業契約を中止するよう、市民からの圧力を受けています。ヴェオリア社に対するBDSキャンペーンが始まって以降、総計140億ドル以上の契約中止に追い込まれています。日本では、広島市、京都市、松山市などで排水処理契約が結ばれています。(ヴェオリア・ウォーター・ジャパンの連絡先はこちら)
- 2011年、サンリオは、多くの反対の声を押し切り、「ハローキティ―・ストア」をイスラエルに出店しました。
- 野村アセットマネジメントは、ガザ空爆で大いに威力を発揮している無人航空機を製造しているエルビット社に投資してます。投資額は2012年9月末現在で40万ドル(約3,100万円)です。
- 藍澤証券は、この数年、日本の投資家によるイスラエル投資を積極的に推奨しています。2012年2月には、イスラエル大使館及び日本イスラエル商工会議所から「日本・イスラエル・ビジネス交流貢献企業表彰」を受賞しています。
4.イスラエル大使館が後援する文化事業の中止を要請しよう!
2008-9年のガザ虐殺以降、イスラエルは、日本でも情報戦争に力を注いでいます。以下のイベントは「日本イスラエル国交樹立60周年記念イベント」の一環として行われるものです。公演会場で参加者にビラ撒き等のアピールをするのも良いかもしれません。
- 【11月24日 滋賀】バットシェバ舞踏団公演:国際的なBDS運動のターゲットとなっています。
- 【11月22日〜12月1日 東京】インバル・ピント&アヴシャロム・ポラック ダンスカンパニー公演
- 【11月23日〜12月2日 東京】東京フィルメックス 特集上映 『イスラエル映画傑作選』
- 【12月8日 東京】イスラエルのハイテクベンチャーから学ぶ会
- 【12月11日〜12月20日 神奈川】蜷川幸雄『トロイアの女たち』:イスラエル外務省からの助成を受けています。共演する「テルアビブ市立カメリ・シアター」は、イスラエル入植地でも公演しており、国際的なBDS運動のターゲットとなっています。(参考記事1・参考記事2)
5.アパルトヘイト国家イスラエルを支援する衆院選候補者を落選させよう!
選挙区や公認政党については変更の可能性もあります。
- 石原慎太郎(比例東京)日本維新の会代表:日本イスラエル親善協会元会長。第一次インティファーダに対するイスラエルの弾圧が世界的に批判されていた1989年、親善協会会長としてイスラエル建国42周年記念集会を東京で開催、挨拶の中で「イスラエルという非常に大切な国に対する配慮がいささか足りない」と外務省を批判。
- 平沢勝栄(東京17区)自民:警察官僚時代、日本赤軍対策でモサド(イスラエルの諜報機関)と親交を深める。2011年4月、日本・イスラエル親善協会副会長の加瀬英明がイスラエル大使を自宅に招いて行った「朝食会」で、「モサドには大変お世話になった。日本はイスラエルから危機管理とインテリジェンスを学ばなければならない」と発言。
- 安倍晋三(山口4区)自民:親イスラエル路線を強く打ち出すネット右翼放送「チャンネル桜」が全面支援。日本・イスラエル親善協会副会長の加瀬英明がイスラエル大使を自宅に招いて行った「朝食会」では、「アラブの春」による「イスラム原理主義の台頭」を懸念する発言。
- 西村眞悟(大阪17区)日本維新の会:「普天間基地反対を叫ぶ者の背後にはガザ地区のテロリストと同じ、冷酷非情の論理がある」と主張する前科一犯。2010年には、日本イスラエル親善協会会長・神藤燿の案内でイスラエルを訪問、建国62周年記念式典等に参加。
- 中山泰秀(大阪4区)自民:日本・イスラエル友好議員連盟事務局長。外務大臣政務官時代には、イスラエルとの関係強化に尽力。父親の中山正暉は、同議員連盟の元幹事長で、二代にわたる親イスラエル議員。
- 土肥隆一(兵庫3区)無所属:キリスト教を通じたイスラエルの宣伝活動に積極的に協力。他の問題では人権派なのですが残念。
- 大野敬太郎(香川3区)自民:日本・イスラエル友好議員連盟元会長であり、かつ、日本イスラエル親善協会顧問でもある大野功統の二世として出馬。
- 平山泰朗(東京13区)国民新党:「稲門杉原千畝顕彰会」事務局次長代理としてイスラエルの情報戦争に協力。杉原千畝は、第二次大戦末期にリトアニア領事館でのヴィザ発給を通じてユダヤ人難民を救済した外交官ですが、残念ながら、その人道的行為が、1990年代以降、イスラエルと日本の右翼の交流と宣伝に利用されてきています。「稲門〜」は早稲田大学出身の右派議員を中心に組織されています。(参考記事)
- 松原仁(東京3区)民主:「稲門杉原千畝顕彰会」事務局長としてイスラエルの情報戦争に協力。
- 今井雅人(岐阜4区)日本維新の会:「稲門杉原千畝顕彰会」事務局次長としてイスラエルの情報戦争に協力。
次の3人は、新党大地・新民主からの候補者です。党代表の鈴木宗男(公民権停止中)は、2009年のガザ侵攻に際し、ハマースを「テロリスト」とする認識を政府に確認する質問主意書を出すなど、突出したかたちで、イスラエルの戦争政策に協力しました。(参考1、参考2、参考3)
参考)参議院議員
- 山谷えり子(比例 〜2016年)自民:日本イスラエル親善協会顧問。イスラエル親善大使。キリスト教シオニズム団体「キリストの幕屋」と懇意にしている。2012年6月のイスラエル訪問時、イスラエル最大の軍需企業IAI(イスラエル・エアロスペース・インダストリー)を見学、ガザの人びとの虐殺に用いられている無人航空機を日本が購入する必要があると主張。
- 佐藤正久(比例 〜2013年)自民:ゴランPKO初代派遣部隊長。2012年11月のガザ攻撃の最中、「ゴラン高原PKO隊長時に、イスラエル軍の内戦作戦のダイナミックさを体感。ヒズボラとの緊張が高まったレバノン正面に戦力集中の為、ゴラン正面戦車を一晩で民間輸送力をフル活用しレバノン正面に転用完了。微妙なバランスを保ちつつ、戦力転用と速やかな予備役動員で態勢強化する作戦特性だ」とツイートし、その戦争マニアっぷりと、殺されているガザ住民への関心の完全な欠如を露呈。
- ツルネン・マルティ(比例 〜2013年)民主:キリスト教を通じたイスラエルのロビイング活動に協力。
- 榛葉賀津也(静岡 〜2013年)民主:日本イスラエル親善協会顧問。
参考情報
以下、2010年5月に行われた「ガザ虐殺を繰り返させないための署名運動」に際し、賛同の意志を表明した議員です。ただし、原発問題等、他のイシューについて、以下の全員の議員が必ずしも市民の立場に立った言動を行ってきたかどうかについては、本キャンペーンは保障できません。各自の責任で総合的に判断いただければと思います。選挙区や公認政党については変っている可能性もあります。
- 阿部知子(神奈川12区)緑の風
- 稲見哲男(大阪5区)民主:ガザ支援船に対する海賊行為と搭乗者に対する虐殺行為への抗議行動にメッセージ。
- 櫛渕万里(東京23区)民主
- 犬塚直史(東京14区)民主
- 近藤昭一(愛知3区)民主
- 斉藤つよし(比例南関東)民主:イラク戦争検証議員連盟元会長。
- 阪口直人(和歌山2区)民主:「中東を見ると、アメリカが核兵器に関して明らかにダブルスタンダードをもっていること、それが他の問題にもつながっているということを強く感じている」(2010年5月「ガザ虐殺を繰り返させないための院内集会」での発言)。
- 末松義規(東京19区)民主
- 瑞慶覧長敏(沖縄4区)無所属
- 首藤信彦(神奈川7区)民主:第二次インティファーダの最中、日本の援助で建てられたガザの盲学校が爆撃されたことをまともに調べようともしない政府を厳しく批判。(参考1、参考2)
- 重野安正(大分2区)社民
- 辻惠(大阪17区)民主
- 照屋寛徳(沖縄2区)社民
- 中島隆利(比例九州)社民
- 服部良一(比例近畿)社民:2010年、パレスチナの平和を考える会等とともに、入植地製品アハバの産地偽装問題について消費者庁・財務省・外務省に対して調査を要請。
- 吉泉秀男(比例東北)社民
参考)参議院議員
- 今野東(比例 〜2013年)民主
- 藤末健三(比例 〜2016年)民主:2009年4月、「我が国のガザ地区に対する取り組みに関する質問主意書」で、ガザ封鎖解除の必要性を訴える。
- 山内徳信(比例 〜2013年)社民
【お詫びとお断り】この欄は、もともと「パレスチナ民衆に連帯する姿勢を表明している衆院選候補者を当選させよう!」というタイトルだったのですが、他イシューで、必ずしも手放しで応援できない議員もいるのではないか、という指摘もあり、「参考情報」とさせていただきました。
※BDSキャンペーンを始めるにあたり、質問などあれば、こちらまで連絡をください。何らかの情報提供やアドバイスができるかと思います。
原文:Five ways to effectively support Gaza through Boycotts, Divestment and Sanctions