「日本−イスラエル ビジネス交流フォーラム in 関西」に抗議する緊急行動(報告)

パレスチナ被占領地におけるイスラエル軍による暴力は、パレスチナの旗をガザ境界のフェンスに付けただけで、明らかに非武装の男性を射殺したり、西岸地区ヘブロンの病院を襲撃し、超法規的に「テロ容疑者」を拉致し、抵抗した親族を射殺するなど、異常な様相を呈し続けています。

そうした状況の中、11月16日、大阪・上本町のシェラトン都ホテル「日本−イスラエル ビジネス交流フォーラム in 関西」なるイベントが、イスラエル大使館・近畿経済産業局大阪商工会議所の主催で行われ、イスラエルのIT企業やセキュリティ企業10社以上が参加しました。参加企業のなかにはイスラエル軍との関係の深い企業も多く含まれており、イスラエルアパルトヘイト政策と日本の経済界との関係が深まることが強く懸念されます。

とりわけ、13日に発生したパリにおける連続テロ事件については、アル・カーイダ系のアル・ヌスラ戦線への医療支援などシリア内戦への介入を行ってきたイスラエルがどのように関わっているのかいないのかは不明ですが、パレスチナにおける戦争犯罪を「対テロ戦争」として正当化してきたイスラエルの広報外交の強力なバックアップとなるものとして、また、同国の軍需企業・セキュリティ企業のマーケティングに対する強い追い風となるものとして警戒する必要があります。

このようなきな臭い動きを背景に開催された今回の「ビジネス交流フォーラム」に対して、関西の市民運動および市民有志が抗議の街頭情宣と申入れ行動を行いました。昨年ガザで虐殺された2200人のパレスチナ人の名前(判明している方のみ)を記した長さ2200cmの「ボイコット・イスラエル横断幕」を掲げ、フォーラム参加者および通行人にビラを配布しました。また、主催団体の一つである大阪商工会議所の経済産業部の方に、要望書を手渡しました。要望書の文面はこちら(PDFファイル)です。また、以下は、配布したビラの文面になります。

危険! イスラエルとのビジネス交流はアパルトヘイト犯罪・戦争犯罪への加担となるリスクを伴います

「中東のシリコンバレー」と自己宣伝するイスラエルのITビジネスは、パレスチナ人に対する徹底的な軍事支配と表裏一体の戦争ビジネスです。

今日、「日本−イスラエル ビジネス交流フォーラム in 関西」がここ大阪(シェラトン都ホテル)で開催され、イスラエルから11社が参加することになっていますが、その多くはイスラエル軍と深い関係を持っています。

たとえば、「i4drive」や「Argus Cyber Security」といった企業は、イスラエル軍の8200部隊出身者が立ち上げたベンチャー企業です。この部隊は、占領地のパレスチナ人の電話やメールを盗聴・監視し、個人の弱みを握ることでスパイ行為を強要するなどの人権侵害に携わっています。

先月来、イスラエルパレスチナの西岸地区およびガザ地区において70人以上のパレスチナ人を殺害し、2000人以上を負傷させています。中には住宅への空爆によって2歳の女の子と妊娠中の母親が死亡するという悲惨なケースもありました。こうした人権侵害一つとっても、空爆のためのCCDカメラや通信システム等々に、イスラエルのIT企業は深く関わっています。

このような中、欧米諸国・アラブ諸国ではパレスチナ人の権利を保護するためにイスラエルに対するボイコットや経済制裁の動きが急速に進んでいます。特にEUでは、2013年にパレスチナ占領に関与している企業を助成対象から除外するガイドラインが定められるなど、実質的な対イスラエル経済制裁がすでに始まっています。これは国際社会が、イスラエル占領政策に対してかつての南アフリカアパルトヘイト(人種隔離)政策と同様の評価を下しつつあるということを意味するものです。

イスラエルがガザ攻撃で2300人のパレスチナ人を虐殺した2014年には、同国への海外直接投資は50%も下落しました。現在、この攻撃をめぐり、国際刑事裁判所による訴追の危機にあるイスラエルは、国際的孤立と外資不足を乗り越えるため、東アジアとの政治的・経済的・軍事的な関係を強化しようとしているのです。

しかしながら、企業の社会的責任が厳しく問われるようになった今日、日本の企業にも、提携先の海外企業が人権侵害や戦争犯罪にかかわっていないかどうか、しっかりと見極める倫理的責任があります。たとえば2011年に国連人権理事会で承認された「ビジネスと人権に関する指導原則」では、企業は「取引関係によって企業の事業、製品またはサービスと直接的につながっている人権への負の影響を防止または軽減するように努める」ことが求められています。

現在、イスラエルによるパレスチナ人に対する人権侵害・占領政策はますます過激化しつつあります。イスラエル企業と提携する日本企業は、人権侵害企業・戦争犯罪企業の汚名をかぶせられるリスクを逃れることはできないでしょう。パレスチナ人の血と苦痛にまみれたイスラエル企業との提携を即時中止し、人々の平和と幸福に寄与する企業活動を推進されることを切に願います。

・ATTAC関西
・関西共同行動
・「ストップ!ソーダストリーム」キャンペーン
パレスチナの平和を考える会
・「日本−イスラエル ビジネス交流フォーラム in 関西」に抗議する市民有志