入植地製品の原産地表示是正に向けたEUの動き(続報)

今年2月22日、アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表が、加盟国27か国の外相宛に送付した、イスラエル入植地製品の原産地表示の是正を求める書簡に対し、オランダ政府が、国内小売企業に「正しい原産地表示」を行うよう指示したことはすでにお伝えしたとおりです。こうした措置が行われるのは、イギリスと南アフリカに次いでオランダが3か国目でした。

ところが、その後、オランダ政府は、イスラエル政府からの強い圧力を受け、発表したガイドラインは検討中の草稿に過ぎないとして、この指示を一度撤回しました。そして、あらためて、4月12日、他のEU諸国と連名で、アシュトン氏宛に、原産地表示是正の方針を支持し、EU統一のガイドライン策定を求める書簡を送付したのです。

イスラエルの圧力を受けつつも、この書簡に署名したのは、オランダ、イギリス、フランス、オーストリア、スペイン、デンマーク、マルタ、ルクセンブルク、ベルギー、ポルトガルフィンランドアイルランドスロヴェニアの全13か国の外相です。

書簡において、これらのEU諸国は次のように述べています。
「消費者は、十分な情報にもとづいた商品選択を行う権利があります。この(原産地表示是正の)動きは、この権利を小売業者が保障する助けとなります。消費者が誤った情報によって誤解しないよう、正しい原産地表示がされる必要があります。」

イスラエル・オランダ大使によれば、こうした動きをアメリカは事実上了承しているとのことです。他方、イスラエルの入植地協議会(Yesha)は、入植地産であることを特定する表示は、西岸地区の工業団地における「経済的共存」を阻害し、多くのパレスチナ人労働者の失業をもたらすとして強く反発しています。

なお、マアレ・アドミーム入植地で製造されている炭酸水メーカー・ソーダストリームは、「Made in Israel」と表示されて、全国で販売されています。

参考記事:
EU Countries to Label Products from Israeli Settlements, Al-Monitor, April 19.
'US approves of EU labeling W. Bank products,' Jerusalem Post, April 25.



イスラエル入植地モディイン・イリット内のスーパーマーケットで抗議のデモを行うイスラエルおよび海外の平和活動家とパレスチナ人たち。2012年10月24日


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