南アフリカ政府が、イスラエル入植地産製品の産地表示を「被占領パレスチナ」とすることを決定!

ソーダストリームのような入植地産製品の産地表示は、イスラエルとの相互関税控除を定めた経済協定を結んでいるEUにおいて大きな問題とされてきました。2009年12月には、イギリス政府が、国内小売企業に対し、入植地産製品について、産地が識別できる表示をするよう勧告を行い、2010年2月には、欧州司法裁判所が、入植地は国際法上違法であり、入植地産製品は関税控除の対象とはならないとする判決を出しました。

日本政府も、「イスラエル入植地は、国際法上違法であり、イスラエル領ではない。したがって、入植地産のものがイスラエル領と表示されているのであれば、正確な表示とは言えない」(2010年5月、パレスチナの平和を考える会が外務省と行った協議における中東アフリカ局参事官の発言)との立場を明確にしています。

しかしながら、EU諸国や日本において、入植地産品に対する具体的な行政レベルの対応は曖昧なままです。入植地製品であるソーダストリームが、イスラエル産として堂々と販売されている原因の一つは、こうした日本政府の対応の矛盾にあるともいえます。

そうした現状において、以下のプレスリリースで扱われている南アフリカ政府の対応は、同国の歴史に根差した画期的な動きであると同時に、日本政府も見習うべき当然の措置であるとも言えます。

参考)南アフリカ、「パレスチナ占領地」製品の表記義務付けへ(AFPBB News、8月23日)


【プレスリリース】
パレスチナ人権センターは、入植地産製品に「被占領パレスチナ」と産地表示するという南アフリカの決定を歓迎する

(原文はこちら


2012年8月26日

南アフリカの貿易産業省は、ユダヤ人入植地産の輸入品に、「被占領パレスチナ」というラベルを付けることを決定した。

8月22日のプレスリリースで、ジミー・マニ政府報道官は、この決定について、「国連が画定した1948年のグリーン・ラインを承認し、それを越える被占領地はイスラエル国家の領土として認めないという南アフリカの立場と一致するものだ」と述べた。

パレスチナ人権センターは、西岸地区の違法入植地産製品に対する正確な産地表示を求める提議の実行という南アフリカの決定を歓迎する。重要なことは、製品がどこで生産されているかを調べる義務は、輸入会社にあるという点である。

南アフリカは、パレスチナ民衆の強力な支持者である。それは、主として、自身が被ってきたアパルトヘイトや抑圧、人権侵害の歴史によるものである。同国のイブラヒム・イブラヒム副外相は、たとえ和平推進を目的とするものであったとしても、南アフリカ人は、イスラエルを訪問すべきでないと表明した。彼は次のように述べた。「イスラエルは、パレスチナを抑圧する占領国家である。したがって、南アフリカ人がイスラエルと関係をもつことは適切ではない。」

パレスチナ人権センターは、被占領地における入植地の建設が続いていることを強く非難する。イスラエルの入植活動は国際法に違反するものであり、また、パレスチナ民衆の私的所有権ならびに集団的・個人的人権を侵害するものである。例えば、ジュネーブ第4条約の第49条は、占領国が、その市民を占領地に移送することを禁じ、被占領者の利益とならない、いかなる恒常的変化も占領地にもたらしてはならないとしている。つまり、占領地における入植地の建設は、国際人道法において戦争犯罪を構成するものである。

以上の観点から、パレスチナ人権センターは、次のことを呼びかける:

  1. イスラエルは、とりわけ、ジュネーブ第4条約の第49条が定める義務を遂行し、被占領パレスチナにおける入植活動を停止しなければならない。
  2. 国際社会は、イスラエルに対し、被占領パレスチナにおける入植政策をただちにやめるよう圧力をかけなければならない。その政策は、国際人権法と国際人道法に違反するものである。
  3. 第4ジュネーヴ条約の締約国は、「すべての場合において、この条約を尊重し、かつ、この条約の尊重を確保する」という条約第1条が定める義務を果たさなければならない。