カナダ最大の教会組織、イスラエル入植地産製品のボイコットを決議!

イスラエル入植地製品に対するボイコット運動の重要な進展を伝えるニュースです。キャンペーン参加者の一人が翻訳してくれました。

参考)イスラエル入植地産品、カナダ合同教会がボイコット(クリスチャン・トゥデイ、2012年8月28日)



カナダ合同教会、イスラエル入植地産の製品をボイコットする決議を採択

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Nora著、2012年8月20日付(エレクトロニック・インティファーダ

カナダ合同教会(United Church of Canada)(UCC)は、8月17日(金)、占領下にあるヨルダン川西岸地区に違法に建設されたイスラエル入植地で作られた製品をボイコットするという決議を採択した。UCCは、キリスト教プロテスタントの教会組織としてはカナダで最も大きい。

「中東地域の平和と正義のためのカナダ人たち」(Canadians for Peace and Justice in the Middle East)(CJPME)の声明によると、この決議は「大きな差をつけて採択された。これは、パレスチナ人の人権を支持する人々が教会の中に多くいることを示している」という。

さらにCJPMEは次にように述べている。

UCCの総会に出席したCJPMEの代表者たちは、総会に参加した代表者たちが、非常によく状況を知っていたと報告した。代表者の多くが、イスラエルパレスチナを訪問したことがあった。彼らは自らの目で、イスラエルパレスチナの領土を軍事占領しており、その結果としてパレスチナ人に対する人権侵害が起こっているのを目撃していたのである。

UCCの決議の文言は、教会指導者達による数年にわたる念入りな調査を反映している。3年前のUCC総会でも、パレスチナ人の人権侵害と入植地産製品に関する決議案が出された。その時は、僅差で反対票が賛成票を上回った。だがその結果として、教会関係者によるワーキング・グループにこの問題が持ち込まれたのである。そこで念入りな調査と議論が行われ、さらに中東地域への調査訪問も実施された。そして2012年5月、ワーキング・グループは報告書を発表した。この報告書でワーキング・グループは、最初の明確なステップとして、イスラエルが違法に建設したコロニー(訳者注:入植地)で作られた製品をボイコットすべきと提言したのである。

報告書はさらに、イスラエルの45年に及ぶ占領が、中東地域の暴力の根底にある不正義をもたらしている主な要因であることを認め、コロニーと壁の撤収をイスラエルに求めた。また、カナダ合同教会に対しては、全てのイスラエル入植地産製品の購入を避けるとともに、占領から利益を得ている、あるいは占領を支持している企業から資本を撤収するように要請した。

CJPME代表のトーマス・ウードレイは、「UCCにとってこれはとても重要な最初のステップであり、イスラエルパレスチナ紛争のもつダイナミクスがよく理解されていることの証左だ」と述べた。その上で「この決議を通じてイスラエルに経済的圧力がかかることで、イスラエル国際法で課せられた義務をより一層重視するようになるだろう」と結論づけた。

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カナダのPostmedia通信社は金曜日、「カナダ合同教会によるボイコットの実施方法についての詳細は、数週間あるいは数カ月以内に決定される」が、「ボイコットは、最初はいくつかの製品に適用されるにすぎず」、イスラエル領内で生産された製品へのボイコットは行われないだろうと報じた。

米国のイスラエルロビー団体シオニスト系組織は、米国のメソジスト長老派統一教会でのイスラエルからの資本引き揚げに関する投票を妨げるために、教会関係者と指導者たちに嫌がらせと脅しをかけたことがあった。同様にイスラエルロビー団体は、UCCのボイコット決議が「反ユダヤ主義の一歩手前」であり、「イスラエルだけを標的としている」だとレッテル貼りをしているとPostmedia通信社は報じる。

Postmedia通信社はさらに以下のように報告している。

(ボイコット決議は)金曜午後に承認される直前まで、UCCメンバーからの強い反対を受けており、(UCCの評議会議長であるブルース・グレゲルセン)はメンバーの一部がこの決議で強くショックを受けているかもしれないと認めている。

UCCは、親イスラエルの団体やユダヤ系団体からも、偏向しており反ユダヤ主義の一歩手前であると批判を受けている。例えば、イスラエルユダヤ問題センターの代表であるシモン・フォーゲルは今週初めに、「UCCは、根本的に助けにならない方法でイスラエルだけを標的にしている」と述べ、「この行動を取ったことでUCCは、イスラエル人とパレスチナ人の間で平和と和解を進める上で建設的な役割を果たせないことを自ら徹底的に明らかにした」と結論づけた。

しかし他方で、UCCを支持する多くのグループも存在する。その中にはユダヤ系カナダ人も含まれている。こうしたグループは、国連や多数の国が違法だとしているイスラエルによる西岸地区と東エルサレムの占領が継続していることを憂慮している。例えば、インディペンデント・ジューウィッシュ・ヴォイスの共同代表であるシド・シュニアドは「これは中東地域での問題の解決を進める上で有効な一歩である」と述べた。

カナダのハーパー政権から、ボイコット決議に対する即座の反応はなかった。ハーパー政権は以前、イスラエル入植地で生産された製品に対するボイコットと入植地に拠点を置くイスラエル企業からの資本引き揚げを呼び掛けていると疑われる市民団体から、連邦政府資金を引き揚げたことがある。ハーパー政権は、BDS支持者たちがイスラエル生存権を否定しようとしていると主張している。

ボイコット支持派はこの主張に反論しており、ボイコット決議は同時に、「イスラエル生存権を疑問視したり、イスラエルの国家としての正当性を弱体化しようとする試みも非難している」としている。

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「中東地域の平和と正義のためのカナダ人たち」
  (Canadians for Peace and Justice in the Middle East)

 2002年に設立された、中東地域での平和と正義の実現を目指す世俗的な草の根の団体。団体の理念として以下の3つを掲げる。(1)立場の違いにかかわらず、全ての人々が国際法を順守すべきである、(2)全ての紛争当事者は、同じ基準のもとにあらねばならない、(3)暴力は問題を解決しない。団体の公式ウェブサイトは、http://www.cjpme.org/