【重要】国連人権理事会調査団、全入植地の撤退と入植地ビジネスの終結を要請





国連人権理事会の審議の様子。

国連人権理事会が任命した、イスラエル入植地に関する調査団は、1月30日、全入植者の撤退と、入植地が引き起こしている人権侵害の中止を要請する報告書を公表しました。(報告書PDFファイルはこちら

この報告書は、イスラエル入植地がパレスチナ人に対する人権侵害を引き起こしている現状を詳しく紹介しており、特に違法入植地製品ソーダストリームが関わる点として、入植地における企業活動の問題を取り上げています。また、入植地をめぐる現状や関連リスクを十分承知しながら、「企業活動が入植地において行われ、その維持と発展強化に貢献している。バルカンやミショール・アドミームのような入植地内の工業団地は、税控除や安い賃貸料、低賃金労働など、多くのインセンティヴを[企業に]提供している」ことが指摘されています。ミショール・アドミームは、ソーダストリームが製造されている工業団地です。

さらに決定的に重要な点は、民間企業に対し、「入植地から得られる企業利益を終結させること」が要請されていることです。

第117項 民間企業は、自らの活動が人権に与える影響を評価し、国際法、並びに、「企業と人権に関する指導原則」に従い、パレスチナ人民の人権に悪影響を与えないようにするために必要とされるあらゆる手段 ― 入植地から得られる企業利益を終結させることを含む ― を講じなければならない。調査団はすべての国連加盟国に対し、入植地内、あるいは入植地に関係する形で活動を行っている企業が各々の国有・国営企業を含め、自分の領土内にあり、および/または、その司法権が及ぶ範囲内にあるときには、これらの企業が活動全体を通じて人権を尊重することを確保するために、適切な措置を講じるよう要請する。調査団は、人権理事会の「企業と人権に関する作業部会」がこの問題に取り組むことを勧告する。

この報告書は、3月に開催される国連人権理事会に正式に提出されることになっています。ソーダストリームの輸入代理店シナジートレーディング(代表取締役 原中俊広)には、責任ある企業として人権理事会の要請を粛々と実行するか、あるいは、イスラエル戦争犯罪に加担し続けるかの倫理的判断が迫られています。

※3月22日、国連理事会は、この報告書を歓迎し、その勧告の履行を国連加盟各国に求める決議を採択しました。日本政府も理事国として賛成票を投じました。

なお、イスラエル政府は、今回の調査団に対する協力を一切拒否しており、また、全国連加盟国に義務付けられた人権理事会の定期審査をも拒否している唯一の加盟国となっています。この画期的報告書が発表された翌日には、シリアへの越境空爆を行うなど、1930年代の日本を彷彿させる超法規的暴走ぶりを見せています。


■参考記事
全入植者の引き揚げ開始を=イスラエル非難−国連調査団時事通信
Israeli settlements symbolise the acute lack of justice experienced by the Palestinian people(国連人権理事会プレスリリース)
イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ自治政府:普遍的定期審査と人権、そしてイスラエル。何が危機なのかアムネスティ日本)