イスラエルの極右閣僚、入植地製品は「平和地区」製品と主張

EU諸国では、ソーダストリームをはじめとしたイスラエル入植地製品の原産地表示を「イスラエル」ではなく、入植地で製造されたことが分かる表示に改める措置が取られようとしています。

こうした動きに対し、イスラエル宗教右派政党「ユダヤ人の家」の党首で、産業貿易労働大臣のナフタリ・ベネット氏(写真)は、西岸地区北部のアリエル工業団地のケーキ工場を訪問し、次のように反論しました。


この工場では、数百人のパレスチナ人とイスラエル人が雇用され、一緒に働いています。この工業団地全体で、何千家族ものパレスチナ人とイスラエル人が雇用され、生活の糧を得ています。これこそが本当の民族共生です。ここで作られた製品に、まるでこの地が占領地であるかのように原産地表示のラベリングをしようという動きがヨーロッパにあります。

実際のところ、これらの製品に[入植地製品であると]ラベリングしようとしている人びとは、平和のチャンスを破壊し、自治区の平均の4倍の賃金を得ている何百何千のパレスチナ人の生活を脅かしているのです。

私は、国際社会に対し、この無意味な試みを中止すること、これらの製品にラベリングをするという不正義を止めることを求めます。もしラベリングするのであれば、平和地区製品とでも表記すべきなのです。

西岸地区を占領地として認めないベネット氏は、今月17日には、「紛争解決のためにイスラエルがすべきことは入植地を作り続けることだ」と述べ、西岸地区の60%以上を占め、すべてのイスラエル入植地が集中しているC地区(オスロ合意で、イスラエルによる治安管理および行政管理が暫定的に認められた地区)の迅速な併合を主張しています。また、和平会議に無駄金を費やすのであれば、C地区の道路や工業団地に投資すべきだとも述べています。つまり、そのようにして、イスラエル人とパレスチナ人との「共生」を実現すべきだということです。

パレスチナ人を追い出して作った入植地の工場を「民族共生の聖域」だと強弁するソーダストリーム社CEOのダニエル・ビルンバウム氏の立ち位置は、パレスチナ人の民族自決権を真っ向から否定する極右政治家ベネット氏の主張および利害と見事なまでに軌を一にするものだと言えるでしょう。

※当初、「平和製品」としていた箇所を「平和地区」製品に訂正しました。


■関連記事
ソーダストリーム工場の現実:酷使されるパレスチナ人労働者
入植地製品の原産地表示是正に向けたEUの動き(続報)
オランダ政府、イスラエル入植地製品の「正しい原産地表示」を小売店に指示
加速するイスラエル入植地建設と入植地製品禁輸に向けたEUの動き