山谷えり子参議院議員のイスラエル入植地観とセキュリティ観


パレスチナ西岸地区ミショール・アドミーム工業団地のソーダストリーム工場
(Photo: Esti Tsal/Who Profits)


山谷えり子参議院議員は、安倍首相に近い自民党右派に位置すると同時に、熱心な親イスラエル議員としても有名です。彼女は、たびたびイスラエルを訪問しており、2005年1月には、当時のシャロン内閣の大臣との会談や、軍需企業の視察に加え、ソーダストリーム工場のあるマアレ・アドミーム入植地を訪ねています

パレスチナ人を追放し、彼らの土地を盗んで作られたこの入植地のことを山谷議員は、「テロリストの動きをエルサレムから封じこめる位置にあり、有事の際は要塞にもなる壁に囲まれた新都市」というように形容しています。イスラエル入植地が国際法上、違法であることは全く意に介しておられないようです。

さらに山谷議員は、マアレ・アドミームの市長とともに、ミショール・アドミーム工業団地を訪れ、大理石研磨工場(Stone and Marble Industries)を見学しています。彼女は、この工場については、「パレスチナ人とユダヤ人が仲良く働いている」と形容し、社長の「(パレスチナ人とイスラエル人が)共に働く場所を作っていくことが大切」との言葉を紹介しています。ソーダストリーム工場を「民族共生の聖域」と自画自賛するビルンバウム・ソーダストリームCEOと全く同じ欺瞞的レトリックです。

一方、山谷議員は、現在、自民党治安・テロ対策調査会副委員長であり、「自民党インテリジェンス・秘密保全等検討プロジェクトチーム」にも参加し、特定秘密保全法の成立に向け、邁進されています。

10月2日から4日にかけて東京ビッグサイトで行われる「テロ対策特別装備展'13」には、山谷氏が2005年と2012年、2度も視察しているイスラエル・エアロスペース・インダストリー(IAI)社や、パレスチナ占領地における監視システムを開発・納入しているエルビット社、福島第一原発にセキュリティ・システムを納入していたマグナ―社など、イスラエルの代表的軍需・セキュリティ企業が大挙して参加します。イスラエル大使館による「イスラエルの防衛先端技術と国家安全保障」とのプレゼンも行われます。

5月には、日本版NCFTA(総合的サイバー犯罪対策のための産学官連合)の創設をもとめる治安・テロ対策調査会の提言が発表されるなど、日米軍事一体化への懸念が高まっていますが、そのことは、イスラエルの戦争・占領ビジネスのマーケットを拡大し、その背後にある排外主義イデオロギーを共有することでもあるといえるでしょう。

すでに、元CIA職員エドワード・スノーデン氏の告発等によって、米国NSA国家安全保障局)が違法に収集した個人情報がイスラエルと共有されていることや、イランの原子力施設に対するサイバー攻撃で用いられた「Stuxnet」が、アメリカとイスラエルの共同開発によるものであったことが明らかにされています。また、2010年の段階で、日本の公安警察が国内イスラム教徒の個人情報を違法に収集していることもデータ流出によって明らかになっています。

人々の生活とプライバシーを破壊し、レイシズムを煽るテロリストとはいったい誰のことなのか、山谷議員はじめ、特定秘密保全法を成立させようとする人々は、深く深く自問する必要があるのではないでしょうか。


■参考
ソーダストリームのどこが問題?
何ができる?
ソーダストリーム回収キャンペーン:知らずに買ってしまった!という方へ