ボイコット運動の拡大とソーダストリームの業績悪化

昨年末は、違法イスラエル商品ソーダストリームに対して、これまでで最大規模のボイコット・キャンペーンが世界中で取り組まれました。特にアメリカを中心として、11月29日(国連パレスチナ連帯デー)から12月10日(世界人権デー)にかけてのホリデーシーズンに取り組まれたキャンペーンでは、51都市で61ものアクションが行われました。

年が明けて1月13日、ソーダストリーム社は、2013年度の純利益が業績予想を大きく下回る4150万ドルになるとのプレスリリースを発表しました。この数字は2012年度の純利益4390万ドルをも割り込んでおり、同社の株価は、同日中に25%も急落しました。同社はこうした事態を見越し、上記プレスリリースの直前に米女優スカーレット・ヨハンソン「ブランド大使」として起用することを発表するなど、必死の巻き返しを計っているようですが、今のところ効果は現れず、株価は低迷を続けています。

プレスリリースでは、業績悪化の理由として、アメリカのホリデーシーズンにおける安売り、生産コストの増大、不利な為替相場シェケル高)の3点が挙げられていますが、ボイコット運動の拡大も要因として無視できないように思われます。特に、生産コストの増大については、近年、イスラエル領内に新たにソーダストリームの工場を設置していること無関係ではあり得ません。というのも、同社は、入植地製品を問題視する国に対しては、イスラエル領内の工場で生産された製品を輸出するようにしているようで、それらの製品は、ミショール・アドミーム入植地の工場に対して取られている様々な優遇措置が受けられないため、生産コストが割高になるからです。また、ボイコット運動によるブランド・イメージの悪化に対抗するために投じているバランスを欠いた膨大な広告費も経営上の足かせになっていると考えられます。

そもそも、家庭用炭酸水製造機という、たった一種目の「ニッチ商品」で大規模グローバル展開を目指すという、明らかに長期的見通しのない拡大戦略は、いずれは壁にぶつからざるを得ないように思えます。いつかははじける「バブル」なのであれば、パレスチナ占領への加担を最小限にすべく、できるだけ早くはじけてもらわなければならないと思います。さらにいえば、他民族を犠牲にした国家建設・軍事占領というイスラエル植民地主義プロジェクトそのものが、いつかは破綻せざるを得ないものだともいえるでしょう。


【参考記事】
ソーダストリームのどこが問題?
何ができる?
ソーダストリーム回収キャンペーン:知らずに買ってしまった!という方へ
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【お薦め動画】
パレスチナからのメッセージ:ソーダストリームを買わないで下さい。
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