ソーダストリームの広告塔となったスカヨハの政治姿勢に広がる波紋
1月7日、違法イスラエル製品を販売するソーダストリーム社は、ハリウッド女優スカーレット・ヨハンソンを「グローバル・ブランド大使」とすることを発表しました(ソーダストリーム日本語HP:お知らせ)。
当然のことながら、現在、ヨハンソンに対する国際的な批判が巻き起こっていますが、同時に、彼女を「グローバル大使」として起用している人道支援NGOオックスファムに対しても、人権侵害企業の広告塔となったヨハンソンとの関係を見直すよう、国際的な圧力が高まっています(英パレスチナ連帯キャンペーン、イスラエルの占領終結を求める全米キャンペーン)。
そうした中、オックスファムは、「入植地における企業活動は、私たちが支援しているパレスチナ人コミュニティの貧困と権利侵害を促進するもの」と考えており、「国際法違反であるイスラエル入植地とのあらゆる取引に反対している」と述べた上で、ヨハンソンに彼らの懸念を伝え、「対話をしている」ことを明らかにしました(オックスファムHP:Scarlett Johansson)。
他方、ヨハンソン自身は、1月24日、マアレ・アドミーム入植地のソーダストリーム工場を「イスラエル・パレスチナ間の平和のための橋を築いている」と賞賛する声明を「ハフィントンポスト」に発表し、オックスファムを含めた良心的国際世論に真っ向から挑戦する姿勢を示しました(スカーレット・ヨハンソン「Clearing the Air」)。
実際にソーダストリーム工場で働くパレスチナ人労働者は、「彼らは私達を奴隷のように扱っている」と告発しています。ヨハンソンの意見は、ソーダストリームCEOのダニエル・ビルンバウム氏や、イスラエルの極右政党「ユダヤ人の家」党首で、現在産業貿易労働大臣のナフタリ・ベネット氏が主張してきた、「入植地ビジネスは、民族共生に貢献している」という議論と全く同じものです。
ちなみに、オックスファムは、2009年、入植地企業アハバのスポークスパーソンとなったクリスティン・デイヴィス(セックス・アンド・ザ・シティ主演女優)との契約を打ち切っています(その後、デイヴィスはアハバとの関係を解消したため、グローバル大使に再び起用されています)。また、2012年には、オックスファム・イタリアが、イタリアでソーダストリームのPR大使となったパオラ・マウゲーリとの提携を解消しました。
ソーダストリームは、これまで極力、違法入植地で工場を操業している事実を表に出さないようにしてきましたが、国際的な批判の高まりの中、イスラエル政府の入植地拡大政策に引きずられるかたちで、イスラエルによる侵略行為を真正面から正当化する方向へと徐々に転換しつつあるようです。今回の問題は、すでに、デイリーメールやインディペンダント、CNN等、欧米の大手メディアで報道されており、波紋はさらに広がりそうです。今後の展開に目が離せません。
※「オクスファム」を「オックスファム」に訂正しました(1月31日)。
【参考記事】
・ソーダストリームのどこが問題?
・何ができる?
・ソーダストリーム回収キャンペーン:知らずに買ってしまった!という方へ
・ソーダストリームが違反している可能性のある国内法規
【お薦め動画】
・パレスチナからのメッセージ:ソーダストリームを買わないで下さい。
・なぜソーダストリームを買ってはいけないのか? ―パレスチナ人にとっての入植地
・なぜソーダストリームを買ってはいけないのか? ―パレスチナ人にとっての入植地(その2)
・なぜソーダストリームを買ってはいけないのか?(その3)
・なぜソーダストリームを買ってはいけないのか?(エドワード・サイード編)