NHK(BS1)「国際報道2014」におけるソーダストリーム報道(要旨)

4月17日に放映されたNHKBS1)「国際報道2014」の特集は「"イスラエル占領政策にNO!" 広がるボイコット」と題し、BDS(ボイコット・資本引揚げ・経済制裁)運動の背景と現状を積極的に伝える画期的なものでした。ここでは、番組のなかで何度も言及されたソーダストリーム問題を中心に内容を簡単に紹介したいと思います。


■スカヨハ問題と占領

まず番組は導入として、ハリウッド女優スカーレット・ヨハンソンが「イスラエルの飲料関連メーカー」のコマーシャル主演をきっかけに大きな批判を浴びたことを紹介しました。ナレーションは、その理由を「このメーカーがイスラエルが占領するヨルダン川西岸で操業しているから」だと明快に述べ、次のように分かりやすく背景を説明しました。

背景には国際社会の批判を無視するイスラエル占領政策があります。イスラエルは国連安保理占領政策をやめるよう決議されたにもかかわらず、今もヨルダン川西岸などにユダヤ人の移住を促す政策を続け、占領の既成事実化を進めています。

■ボイコット運動の効果

今回の番組の特徴として、ボイコットの「効果」に焦点を当てていることが挙げられます。たとえば、入植地ビジネスの現状に関する次のような事実はこれまで日本でもほとんど紹介されることのなかったものですが、とても重要です。

占領政策に反対するボイコットの動きは占領地に住むユダヤ人に打撃を与えています。この男性は政府の支援を得てヨルダン川西岸でピーマンやパプリカを生産しています。ところが去年EUヨーロッパ連合は占領地のヨルダン川西岸で生産された農産物をイスラエルとの間で決めた税制優遇の対象から外すと発表しました。男性が生産する農産物はヨーロッパ市場での競争力を失い売上は20%近く減ったといいます。

■ボイコット運動の悪影響?

番組では、ソーダストリーム側の「占領地での操業をやめればパレスチナ人の雇用が失われるだけ」との主張も取り上げています。しかし同時に、イスラエル軍による占領地における農業破壊の様子を紹介し、イスラエルの入植政策がパレスチナ人の雇用を奪う現実を示しています。そうすることで、ソーダストリームの主張の欺瞞性が示されているわけです。

■日本におけるキャンペーンも紹介!

ボイコット運動の広がりについては、デンマークの大手銀行やオランダ最大の年金基金が今年に入って占領地に店舗をもつイスラエルの銀行から投資資金を引き揚げると発表したことなど、ヨーロッパの動きが紹介されました。その上で、エルサレム支局長の辻浩平氏は次のように述べてくれています。すばらしい!

こうしたボイコットですけども、実は日本でも行われています。リポートで紹介した飲料水メーカーの製品を販売するデパートの前で抗議デモをするなどの動きがあるんです。

南アフリカアパルトヘイトにも言及

南アフリカとの比較は、パレスチナが準国家としてアパルトヘイト禁止条約をはじめとした国際条約・機関への参加申請を開始している現在、非常に重要な論点になっていると言えます。辻支局長は、このことに関連して次のようにコメントされています。

パレスチナ側ではこうしたボイコット運動がイスラエルに対する圧力になるのではないかという期待が高まっているんです。と言うのも、かつての南アフリカの人種隔離政策、アパルトヘイトを終わらせる原動力となったのがボイコットだとされているからです。

以上、ざっと番組の内容を紹介させていただきました。ETV特集でもぜひ放映してほしいものです。


【関連記事】
NHK(BS1)「国際報道2014」の特集でソーダストリーム問題が取り上げられます!

【参考記事】
ソーダストリームのどこが問題?
何ができる?
ソーダストリーム回収キャンペーン:知らずに買ってしまった!という方へ
ソーダストリームが違反している可能性のある国内法規

【お薦め動画】
パレスチナからのメッセージ:ソーダストリームを買わないで下さい。
なぜソーダストリームを買ってはいけないのか? ―パレスチナ人にとっての入植地
なぜソーダストリームを買ってはいけないのか? ―パレスチナ人にとっての入植地(その2)
なぜソーダストリームを買ってはいけないのか?(その3)
なぜソーダストリームを買ってはいけないのか?(エドワード・サイード編)