【ソニー・ガザ虐殺加担問題】 質問書への回答拒否に市民団体が抗議文

8月上旬にガザ地区の虐殺現場で発見されたイスラエル兵器からソニー製CCDカメラのICボードが見つかったというニュースは国際的に大きな反響を呼びました。最初にこの件を報道したイラン系報道局プレスTVのフェイスブックへの投稿動画はなんと4万人近くの人に「シェア」されています。

この問題について、ちょうど2か月前に「ストップ!ソーダストリーム」キャンペーンを含めた7つの市民グループソニー宛に質問書を送付しましたが、同社は回答を拒み続けています。そこで改めて同社宛に下記の抗議文を送付しました。

業績不振に喘ぐソニーが、消費者の声にしっかりと耳を傾け、応えることのできる健全な企業精神を取り戻すのか、あるいは、イスラエル軍との隠密なつながりを深め、市民感覚からますます乖離した企業になっていくのか、多くの注目が集まっています。

抗 議 文

ソニー株式会社
代表執行役社長兼CEO 平井一夫 様


前略

私達は、パレスチナ自治区ガザにおいて、この間イスラエルが行ってきた軍事攻撃と封鎖政策によって、多くのパレスチナ人の命と基本的権利が奪われていることに心を痛めている市民団体です。7月8日以降、8月27日の停戦に至るまで、イスラエルガザ地区で約2100人の住民を殺害し1万人以上の人々を負傷させており、少なくとも死者の7割が多くの子どもを含む民間人であることが国連の調査で判明しています。また、ガザ地区に対する封鎖政策によって、負傷者への医薬品が欠乏し、破壊されたインフラの復旧もできず、人々は深刻な人道的危機状況に置かれています。

このような状況の中、イスラエル軍ガザ地区南部のクザア地区に対する攻撃で用いた兵器に貴社製のICボードが組み込まれていたということが、8月上旬にイラン系放送局プレスTVのニュースで報道されました。
また、私達は、ガザのパレスチナ人の協力を得て、上記報道では鮮明でなかったICボードの写真を入手し、「SONY」「MADE IN JAPAN」の文字を確認しました。プレスTVは誘導ミサイルのカメラと報道しています。こうした事実から、貴社の製品がガザにおけるイスラエル戦争犯罪に用いられていることは、もはや疑う余地がありません。

そのため、私たちは本年8月23日付けで貴殿に内容証明郵便を送り、貴社製品がどのような経路でガザの人々を殺す兵器に組み込まれることになったのかの経緯の説明や、ガザ地区イスラエル軍の用いた兵器の中から貴社製品が発見された事実と「ソニーグループ行動規範」「グローバル・コンパクト」「企業と人権に関する国連指導原則」との関連等について、9月12日までに貴社の考えをご回答いただくよう、求めました。ところが、上記回答期限を過ぎ、なお一か月を経過した今日にあって、いまだ貴社より回答がなされていません。このことは、きわめて遺憾です。

貴社が、自社で製造した商品について問われているのに対して、回答を拒否し説明責任を果たそうとしないことは、世界でビジネスを展開している貴社の名を自ら汚すことです。貴社の製品が、約500人の子どもたちを含むガザの人々に対する虐殺の中で使用されたのは紛れもない事実であり、その事実に頬かむりして事実経過さえ調査しないというのであれば、企業の社会的責任を放棄したものと言わざるを得ません。貴社が回答拒否という形でそうした責任放棄の姿勢を示したことに、私たちは厳重に抗議します。

また、「ソニーグループ行動規範」では「事業活動を行なう各国・地域のあらゆる適用法令、規則を遵守し、誠実かつ倫理的に事業活動をおこなうことがソニーグループの基本方針」だとされています。そうであれば、国際法に反するイスラエルのガザ攻撃に加担することが許されるはずがありません。それにもかかわらず、この問題について貴社が回答を拒否されたことは、上の「行動規範」「基本方針」なるものが、中身を伴わない美辞麗句に過ぎないものであり、現実には貴社が、軍事転用の可能性に気づきながら、利益のためにアメリカやイスラエルの軍需企業や軍そのものに自社製品を販売している「死の商人」なのではないかと疑わせるに十分な対応だといえます。

貴社の回答拒否を受け、私たちはこれからどのような対応をしていくかを検討していきます。ただし、貴社が自ら過ちを正していくに越したことはありません。したがって、貴社がこれから経過を明らかにし、今回の事態について責任を明確にするよう、私たちは再度求めるものです。

草々


2014年10月13日

アハリー・アラブ病院を支援する会
ガザの人々を殺すな!実行委員会
「ストップ!ソーダストリーム」キャンペーン
占領に反対する芸術家たち
パレスチナと仙台を結ぶ会
パレスチナの平和を考える会
ミーダーン〈パレスチナ・対話のための広場〉