【BDS勝利!】ソーダストリーム社、来年中の入植地撤退を発表



イギリスのソーダストリーム社のオフィスビルで抗議行動を行う3名の活動家(ケンブリッジ、2014年10月30日)


10月29日、ソーダストリーム社は、2015年12月までにパレスチナ西岸地区の入植地内で操業していた工場を、ナカブ(ネゲヴ)地方の工業団地に移転させることを発表しました。ソーダストリーム社はこの移転を「純粋に経済的理由」によるとしていますが、イスラエルの入植政策への加担を理由とした同社に対するボイコット運動が大きなプレッシャーとなっていたことは間違いありません。

今年に入りEUでは17か国以上が自国企業に対して入植地ビジネスに関わることの経済的政治的リスクについて公式に警告を発しています。こうした動きを受け、7月にはイギリスの大手百貨店ジョン・ルイスソーダストリームの取り扱い中止を発表、さらに10月にはアメリカで400店舗以上を展開する百貨店メイシーズがソーダストリームの販売を中止したことが報道されました。日本でもこの8月、表参道で予定されていた「ソーダ専門店」が出店中止に追い込まれました。2014年第3四半期のソーダストリーム社の売上げは予想を大きく下回り、同社の株価は上場以来最低の水準に落ち込んでいます。

パレスチナBDS全国委員会のスポークスパーソンであるリアーファ・ジヤーダは、今回の撤退発表について、「BDS(ボイコット・資本引き揚げ・制裁)運動が、イスラエルアパルトヘイト植民地主義に加担する犯罪企業に対して、その責任を負わせる力をもちつつあることを示すものです」と語っています。

その一方で注意しなければならないことは、ソーダストリーム社が工場を移転させようとしているナカブ地方が、1948年のイスラエル建国以来、現在にいたるまで、パレスチナ人に対する民族浄化政策が行われ続けている地域だということです。現在ソーダストリーム社が工場を操業しているマアレ・アドミーム入植地によって直接被害を受けているパレスチナ人の多くも、もともとはこの地方から追放された人々です。ガザ地区と西岸地区をつなぐ位置にあるナカブ地方のパレスチナベドウィンに対し、イスラエルは、近年ますます強行に強制移住(定住化)を押し付けようとしています。今年だけでも70回以上の家屋破壊あるいは農地破壊が当局によって行われていますが、それに対する抵抗もまた粘り強く続けられています。


ナカブ地方アル・ラキーブ村に対する家屋破壊。2010年以来、70回以上の家屋破壊を受けてもなお抵抗を持続している(2014年6月12日)

イスラエルは、ナカブ地方のパレスチナベドウィンに対して伝統的な生活をやめさせ、彼らの指定する狭い地域に集住させる政策を行ってきましたが、そのようにして人工的に作られたベドウィンの町は高い失業率と貧困率のまま放置されています。この定住政策を破綻させず、先祖来の土地と生活手段を失ったパレスチナ人の労働力をイスラエルの産業に利用するために作られたのが、ソーダストリーム工場が新たに操業しようとしているイダン・ハネゲヴ工業団地なのです。

ラフィーフ・ジヤーダは、「もしこの工場閉鎖が行われたとしても、ソーダストリーム社は、パレスチナ人に対する強制移住に関係し続けることになります。ソーダストリーム社はこの(ナカブにおける強制移住)計画の受益者として、人権侵害の共犯者なのです」と述べています。イスラエルによるアパルトヘイト政策が終わるまで、「ストップ!ソーダストリーム」キャンペーンはまだ当面続ける必要があるようです。


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