「日本・イスラエル投資協定」に関する要望書提出記者会見のご案内

「日本・イスラエル投資協定」に関する要望書提出記者会見

日時:4月5日(水) 午後1時半〜2時半
会場:参議院議員会館2階 議員第3会議室

※午後1時より参議院議員会館ロビーにて入館証を配布します。

Ustream中継:IWJ チャンネル6】
http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=6

発言:
志葉玲(ジャーナリスト)、奈良本英佑(法政大学名誉教授)ほか、中東にかかわる研究者・ジャーナリスト・NGO関係者、大野元裕参議院議員

中東に関わる研究者・ジャーナリスト・NGO関係者70名(後ろに一覧)が、今国会での承認が見込まれている「日本・イスラエル投資協定」について、イスラエルの違法な入植活動に関わる「入植地ビジネス」を促進する可能性があるとして、拙速な承認を行わないよう要望書(衆参両院議長宛)を提出します。

要望項目の概要は以下の通りです。

  1. 投資協定は、イスラエルの「領域」を、「イスラエル国の領域(領海を含む)並びに大陸棚及び排他的経済水域であって、イスラエル国国際法及びイスラエル国の法令に従って主権、主権的権利又は管轄権を行使するものをいう」と定義しています。ここで言われている「領域」に、東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区およびガザ地区、シリア領ゴラン高原は含まれないことを明確にしてください。
  2. 2013年1月に国連人権理事会の調査団が公表した報告書では「入植地から得られる企業利益の終結」が求められ、対象となる入植地ビジネスの内容が具体的に列挙され、現在同理事会によって入植地関連企業のデータベース作成が進められています。こうした入植地ビジネスに日本政府や日本企業が関与することのないよう対策をとってください。
  3. 2014年3月、国連人権理事会は、各国政府に対し、入植地ビジネスに伴う法的・倫理的リスクについて自国企業に周知することを要請する決議を採択し、すでにEUでは17か国以上がそうしたリスクについての警告を公にしています。現状のままでの投資協定の発効は、日本企業が入植地ビジネスに関与するリスクを高めるものです。協定承認の前に、人権理事会決議に従いリスク周知を徹底してください。

つきましては、パレスチナイスラエル問題にかかわる投資協定の重大な問題点および要望書の趣旨を説明する院内記者会見を行います。報道関係者のみならず市民の方にもご参加いただければと思います。

≪呼びかけ≫
奈良本英佑(法政大学名誉教授)
杉原浩司(武器輸出反対ネットワーク[NAJAT]代表)
役重善洋(パレスチナの平和を考える会)

<連絡先>
090-6185-4407 kojis@agate.plala.or.jp (杉原)
090-9273-4316 ysige1971@gmail.com (役重)

【参考】※ぜひご覧ください。
日本・イスラエル投資協定の問題点
イスラエルの占領ビジネスをボイコット!キャンペーン)
http://palestine-forum.org/bds/agreement2017/

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イスラエル入植地問題に関わる「日本・イスラエル投資協定」の
問題点についての要望書 賛同者一覧(4月4日現在)

相沢恭行(PEACE ON主宰)
安藤滋夫(パレスチナ情報センター)
飯塚正人(東京外国語大学教授)
石川雅之パレスチナと仙台を結ぶ会代表)
板垣雄三東京大学名誉教授、東京経済大学名誉教授)
今野泰三(中京大学国際教養学部准教授)
岩崎えり奈(上智大学教授)
鵜飼哲一橋大学教員)
臼杵陽(日本女子大学文学部史学科教授)
宇野昌樹(広島市立大学国際学部教授)
円城寺あや(俳優)
岡野内正(法政大学教授)
岡真理(京都大学教員)
岡本達思(中東関係NGO理事)
尾崎芙紀(中東研究者)
小山田紀子(新潟国際情報大学国際学部教授)
鎌田繁東京大学名誉教授)
川上泰徳(ジャーナリスト)
菊地達也(東京大学准教授)
北林岳彦(中東関係NGO理事)
清末愛砂(室蘭工業大学大学院工学研究科准教授)
金城美幸(日本学術振興会特別研究員)
栗田禎子(千葉大学教授、中東現代史)
黒木英充(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授)
小林和夫((株)オルター・トレード・ジャパン)
坂井定雄(龍谷大学名誉教授)
佐藤健太郎北海道大学大学院准教授)
塩尻和子(東京国際大学特命教授)
茂田眞澄(アーユス仏教国際協力ネットワーク理事長)
志葉玲(ジャーナリスト)
設樂國廣(立教大学名誉教授)
原久美子(劇作家)
菅瀬晶子(国立民族学博物館超域フィールド科学研究部准教授)
杉原浩司(武器輸出反対ネットワーク[NAJAT]代表)
鈴木啓之日本学術振興会・特別研究員PD)
鷹木恵子(桜美林大学・人文学系教授)
高橋宗瑠(立教大学講師)
高橋美香(写真家)
林敏之早稲田大学理工学術院非常勤講師)
田島和子(画家)
店田廣文
田浪亜央江(中東研究者)
土井敏邦(ジャーナリスト)
豊田直巳(フォトジャーナリスト)
長沢栄治(東京大学教授)
長沢美沙子(翻訳家・編集者)
中村一成(ジャーナリスト)
中村覚(神戸大学大学院国際文化学研究科准教授)
奈良本英佑(法政大学名誉教授)
野川未央(特定非営利活動法人APLA)
猫塚義夫(「北海道パレスチナ医療奉仕団」団長・整形外科医師)
ノーマ・フィールド(シカゴ大学名誉教授)
野間伸次
野元晋
早尾貴紀東京経済大学教員)
樋口美作((宗)日本ムスリム協会理事(前会長))
平井文子(NPO法人アジア・アフリカ研究所理事)
藤田進(東京外国語大学名誉教授)
水谷周(現代イスラーム研究センター理事)
皆川万葉(パレスチナ・オリーブ)
三代川寛子(上智大学研究員)
村山盛忠(日本キリスト教団牧師)
望月衣塑子(新聞記者)
森まり子(跡見学園女子大学准教授)
森本一夫(東京大学准教授)
八木久美子(東京外国語大学教授)
役重善洋(パレスチナの平和を考える会)
八鍬瑞子(占領に反対する芸術家たち)
山本薫(東京外国語大学非常勤講師)
吉澤真満子(特定非営利活動法人APLA事務局長)

以上、70名

福島みずほ参議院議員が「日・イスラエル投資協定」に関する質問主意書を提出


2015年1月19日、エルサレムの首相府で会談を行った安倍・ネタニヤフ両首脳。


11月24日、社民党福島みずほ参議院議員が、「日・イスラエル投資協定」の締結に向けた動きについて質問書主意書を提出しました。イスラエルとの投資協定は、2015年1月にエルサレムで行われた安倍・ネタニヤフ会談で「年内締結」を目指すとし、同年12月に「実質合意」が発表されていたものです。

さらに今年7月には、イスラエル経済産業省チーフ・サイエンティスト、アヴィ・ハッソン氏の「年内にも締結したい」との言葉が報道されましたが、当初予定されていたよりも明らかに時間がかかっています。

その理由の一つとして考えられるのが、イスラエル入植地に関わる企業活動の取り扱いです。イスラエル入植地の拡大によって二国家解決が実質的に破綻している現状への危機感を背景に、この数年、国連人権理事会では入植地における企業活動を規制する動きを強めています。2013年には、民間企業が「入植地から得られる企業利益を終結させる」よう、各国政府が適切な措置を取ることを要請する報告書が発表され、日本政府もその内容を支持する決議に賛成票を投じています。

したがって、日本がイスラエルと投資協定を結ぶのであれば、その裨益者からイスラエルの入植地ビジネスを除外するための条件を付けることが必要だと鋭く指摘するのが、福島議員の質問主意書です。すでにEUでは、2013年7月、入植地にかかわる団体および活動を助成等の対象から除外するガイドラインを、2015年11月には、イスラエル入植地産製品の原産地表示を「イスラエル」とせず、入植地製品であることが分かるようにすべきとするガイドラインを策定・公表してきています。「中東和平プロセス」を支持する立場から17億ドルもの対パレスチナODAを投入してきた日本政府であれば、当然、こうした国際社会の動きを見習い、投資協定が入植地ビジネスによって利用されないようにしなければならないでしょう。

以下、福島みずほ議員による質問主意書の全文です。

イスラエルとの経済・技術交流と同国のパレスチナ占領政策に関する質問主意書

昨年十二月、政府は日・イスラエル投資協定(以下「投資協定」という。)の実質合意を発表した。政府は投資協定を年内にも締結する方針と報じられている。また、本年六月には、イスラエルとのサイバーセキュリティに関する技術協力覚書(以下「技術協力覚書」という。)の年内締結に向けた動きも報じられている。しかしながら、イスラエルが被占領パレスチナ領で継続している入植地拡大は中東和平に対する深刻な障害となっており、これに対し、イスラエルの入植地ビジネスに対する規制を求める決議が国連人権理事会で採択されるなど、国際的な批判がかつてなく高まっている。日本も中東和平プロセスについて二国家解決の実現を支持する立場から、同理事会理事国であった時期には前述したような決議に賛成票を投じており、また、イスラエルの入植活動は国際法違反であるとする批判を繰り返し表明している。したがって、外交政策の一貫性と透明性という観点から、日本とイスラエルとの経済・技術交流を進める際には、国連人権理事会の報告書や決議で指摘されているイスラエルの入植地ビジネスに付随する法的・倫理的リスクを十分考慮することが必要とされる。

以上を踏まえ、以下質問する。

一 東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区ガザ地区およびゴラン高原は、投資協定および技術協力覚書の対象となり得るイスラエルの領域に含まれるか。

二 イスラエル入植地の住民や同入植地に活動拠点をもつ企業は投資協定の投資主体となり得るか。

三 イスラエル入植地に存する企業や不動産等は、投資協定の投資対象となり得るか。

四 国連人権理事会の調査団が二〇一三年に公表した「東エルサレムを含む被占領パレスチナ領におけるパレスチナ人民の市民的政治的経済的社会的文化的権利に対してイスラエル入植地が及ぼす影響について調査するための独立国際真相調査団報告」(A/HRC/22/63)第九十六項に列挙された入植地ビジネスに従事する企業は、投資協定の投資主体および投資対象となり得るか。

五 二〇一四年三月に国連人権理事会が採択した決議(A/HRC/RES/25/28)では、「個人と企業に対し、経済・金融活動や入植地におけるサービス提供、土地・建物の購入を含む、入植地に関わる活動に関わることに伴う、金融上及び風評上のリスク、法的なリスク、加えて個人に対する権利侵害の可能性についての情報を(各国政府が)提供することを求める」とされているが、投資協定および技術協力覚書の締結を含めた両国経済・技術交流の推進に際しては、同決議を施策に反映させる必要があると考えられるが、政府は具体的な措置を考えているか。

六 技術協力覚書に関しては、宮城県にある「制御システムセキュリティセンター」でイスラエル製品やソフトの試験を行う計画があるなどと報じられているが、イスラエルのサイバーセキュリティ企業の多くはイスラエル軍のサイバー部隊と緊密な関係を持っていることはよく知られている。このサイバー部隊は被占領パレスチナ領やイスラエル国外で非合法な諜報活動や破壊活動に従事していることが多くの関係者や報道によって指摘されている。最近では、イランのウラン濃縮施設に対するサイバー攻撃イスラエル軍のサイバー部隊である八二〇〇部隊が関与していることが明らかになっている。したがって、イスラエルのサイバーセキュリティ企業の技術を日本に導入する際には、経済・技術交流を通じてイスラエルの非合法な諜報活動や破壊活動に日本の資本や技術が利用されないよう細心の注意が必要になると考えられるが、この点に関してどのような対策を考えているか。

右質問する。

イスラエルとの経済・技術交流と同国のパレスチナ占領政策に関する質問主意書参議院HP)
【資料】国連人権理事会におけるイスラエル入植地ビジネスをめぐる最近の動きパレスチナ情報センター)
「違法なイスラエルの占領ビジネスをボイコット!11・30連続行動」呼びかけ

「違法なイスラエルの占領ビジネスをボイコット!11・30連続行動」呼びかけ

「違法なイスラエルの占領ビジネスをボイコット!11・30連続行動」呼びかけ

11月30日(水)、パレスチナ人が呼びかける対イスラエルBDS(ボイコット・資本引き揚げ、制裁)キャンペーンの一環として、下記の連続行動をおこないます。

■12:15〜「ジェトロイスラエルの違法入植地ビジネスに協力するな!」行動

この日、JETRO大阪で「イスラエルワインセミナー&試飲会」というイベントがあり、パレスチナ人の土地・資源を収奪して生産された入植地ワインの宣伝が行われます。

■14:00〜「ヨドバシカメラパレスチナ占領に加担するHP製品を売るな!」行動

HP(ヒューレットパッカード)社は、パレスチナ人の移動を制限するイスラエルの検問所に生体認証システムを供給することで、同国のアパルトヘイト政策に加担しています。イスラエル軍や入植地にもセキュリティシステムを供給しています。

※以上、当日の状況により、多少予定を変更する可能性もあります。

呼びかけ:パレスチナの平和を考える会(palestine.forum@gmail.com

【参考】ジェトロ宛要望書

独立行政法人日本貿易振興機構理事長 石毛 博行 様

要望書:ジェトロは違法なイスラエル入植地ビジネスに協力しないでください

貴職におかれましては日々ご健勝のことと存じます。

さて、私たちはパレスチナイスラエルにおける公正な平和を求める市民の立場から、イスラエル大使館のウェブサイトで広報されている「イスラエルワインセミナー&試飲会」(11月30日開催)でジェトロ大阪が会場となっていることに深く困惑せざるを得ません。というのも、そこに掲載されている出展予定のワイン会社の多くは、パレスチナ西岸地区およびゴラン高原で違法に建設されているイスラエル入植地に深く関わっていることが広く知られている企業だからです。

イスラエル平和団体Who Profits from the Occupationが発行したレポート
Forbidden Fruit: The Israeli Wine Industry and the Occupation(2011)は、今回のイベントに出店する以下の企業が違法な入植地で企業活動を行っていることを指摘しています。

  • Carmel Winery グシュ・エツィオン入植地などにブドウ園を所有
  • Yatir Winery スシヤ入植地のブドウ園のブドウを使用
  • Barkan Wine Cellars Ltd ドレヴ入植地などにブドウ園を所有
  • Shiloh Winery Ltd. シロ入植地にあるワイナリー
  • Gvaot Winery Ltd. ギヴアト・ハルエル入植地にあるワイナリー
  • Golan Heights Winery Ltd. ゴラン高原の入植地に多くのブドウ園を所有
  • Hevron Heights Winery キリアト・アルバ入植地にあるワイナリー
  • Eliaz Binyamina (18-18) Ltd. ゴラン高原にブドウ園を所有
  • Teperberg Winery メヴォ・ホロン入植地にブドウ園を所有

ご存じの通り、イスラエル入植地はパレスチナ占領地の資源を収奪し、人々の移動の自由を侵害し、和平の実現を妨げるものです。日本政府はイスラエルの入植活動を国際法違反であるとして厳しく批判する立場に立っており、入植地ビジネスを終結させるべきとする国連人権理事会の決議にも賛成票を投じています。

したがって、今回のイスラエル大使館による入植地産ワインの販売促進イベントにジェトロ大阪の施設を会場として貸すことは、パレスチナ人に対する権利侵害を助長する意味を持つ上、入植地ビジネスに反対する国際社会の動きおよび日本政府の外交方針にも反するという点からも、極めて不適切な行為であると考えます。

以上の認識から、以下、要望させていただきます。

1.11月30日に予定されている「イスラエルワインセミナー&試飲会」にジェトロ大阪の会場を貸し出すことを中止すること。

2.仮に中止が間に合わない場合、同イベントに出展予定のワイン会社を調査し、入植地関連企業にあたる会社のワインを出展リストから外すよう、イスラエル大使館に要求すること。

3.今後このような事態が再発することの無いよう、私たちと話し合いの場を設定すること。

以上、ご検討のほど何卒よろしくお願いいたします。


2016年11月28日
パレスチナの平和を考える会、他市民有志

近畿経済産業局からの不十分な回答と意見交換の概要

先月6日に行われた、イスラエルとの経済交流に関する関西の市民団体と近畿経済産業局との話し合いの概要が、「パレスチナの平和を考える会」のホームページに掲載されたので、お知らせします。

「イスラエルとの経済交流と同国のパレスチナ被占領地における国際法違反・戦争犯罪の抑止に関する質問書」に対する近畿経済産業局の回答と市民団体との話し合いの概要

意見交換の中では、入植地で生産されていたソーダストリームの日本での販売に関する議論もされ、「明らかな入植地ビジネス」については国連人権理事会決議にもとづく「助言」を対象企業に対して行うとの注目すべき答弁も見受けられます。つまり、仮にソーダストリームの工場が入植地から撤退しておらず、また、当初輸入代理店となっていたシナジートレーディング社が今も契約を継続していれば、近畿経産局はシナジートレーディング社に対して、ソーダストリームの輸入販売に伴う法的および人権上のリスクについて「助言」をするということになります。

もちろん、イスラエルに対するボイコット運動は、入植地ビジネスのみに集約されるべきものではなく、イスラエル領内ネゲヴ(ナカブ)の工業団地に工場を移転させたソーダストリーム社が倫理的問題を払拭したわけではありません。現在、ネゲヴ地方では、イスラエル領内のパレスチナ人に対する強制土地収用政策・民族浄化政策が集中的に行われており、ソーダストリームが移転したイダン・ハ=ネゲヴ工業団地もその例外ではないからです。

加えて言えば、国連やEUにおいて入植地問題がクローズアップされている最大の理由は、「ユダヤ人国家としてのイスラエル」を存続させるための二国家解決が入植地の拡大によって事実上不可能になりつつあることに、ようやく欧米諸国の政治指導者が気付き始めたことにあると言えます。つまり、この間の欧米諸国によるイスラエル批判の論調は、シオニズムを批判するがゆえの入植地批判ではなく、シオニズムを擁護するがゆえの入植地批判という性格を強く帯びているわけです。

しかし、すでに現実は二国家解決にとって「手遅れ」ともいえる状況にあり、「一国家的現実」がパレスチナイスラエルを覆っています。このことはイスラエルパレスチナ人政策が単なる軍事占領ではなく、一国家の統治領域内におけるアパルトヘイト政策という性格をもつことを白日のもとにさらしつつあります。この現実を踏まえれば、入植地ビジネスに対する国際的なボイコットの動きは、二国家解決案の延命策としてではなく、イスラエルパレスチナ全領域におけるアパルトヘイト廃絶に向けた、パレスチナ人の解放運動に対するエンパワーメントの一環として捉えるべきものと考えられるでしょう。

以上に述べたように、イスラエルの入植政策は結果的に「ユダヤ人国家としてのイスラエル」に対する国際的正当性を根底から揺るがしつつあるわけですが、安倍政権はそのあたりの事情に全く関心をもつことなく、イスラエルとの関係強化にまい進し、年内には投資協定を締結するとも報じられています。欧米諸国がようやくイスラエル占領政策のもたらしている現実に気付き、対策を打とうとしているタイミングにおいて、日本は、まったく逆行する政策をとり、占領の固定化(〜イスラエル国家の非正当化)の道を突き進むネタニヤフ政権の能天気なパートナーとなっています。日本政府は、狭い国益の観念に捕らわれずに、中東の現実を直視した外交政策を構築すべきでしょう。


【資料】国連人権理事会におけるイスラエル入植地ビジネスをめぐる最近の動きパレスチナ情報センター)

イスラエルとの経済交流に関する質問書(近畿経済産業局宛)

関西の市民団体3団体が連名で、この間、イスラエルとの経済交流を加速させている近畿経済産業局に質問書を提出しています。同局は10月6日に提出団体に対して口頭で質問書に回答し、意見交換を行ったとのことです。詳細は追って報告しますが、ここでは、まず質問書の内容を掲載します。

近畿経済産業局局長 池森啓雄 様

イスラエルとの経済交流と同国のパレスチナ被占領地における国際法違反・戦争犯罪の抑止に関する質問書


 貴職におかれましては益々ご清栄のことと存じ申し上げます。
 さて、昨年11月16日、近畿経済産業局(以下、近畿経産局)と大阪商工会議所(以下、大商)がイスラエル大使館とともに「日本−イスラエル ビジネス交流フォーラム in 関西」というイベントを開かれた際、市民有志が要望書を提出し、パレスチナ人に対する継続的な人権侵害・戦争犯罪を繰り返しているイスラエルと経済関係を深めることの法的・倫理的リスクについて指摘しました。しかし、その後、この指摘が真剣に考慮された形跡はなく、3月5日〜9日には、近畿経産局および大商によって「関西・イスラエル ビジネス交流ミッション」が派遣され、その際、近畿経産局とイスラエル経済産業省との間には「経済協力に関する覚書」が結ばれました。私たちは、中東における公正な平和を願う市民として、この間の関西経済界におけるイスラエルとの関係強化の動きに強い懸念を持つことを改めてお伝えします。
 2012年2月に大商がイスラエル産業貿易労働省(現経済産業省)と交流促進のための共同宣言を結んで以降に限っても、イスラエルは、パレスチナ占領地ガザ地区において二度の大規模な攻撃を繰り返し、2500人以上に上る住民を殺害し、180万人の住民に対する非人道的封鎖を今も続けています。また、西岸地区においては国際法違反である入植地建設を継続し、パレスチナ人からの土地や水等の資源収奪を強化しています。
 このような組織的かつ深刻な犯罪行為が繰り返されていることに対し、イスラエルへの国際的な制裁を求める声が広がっています。2015年1月には、ガザ地区における戦争犯罪に関して国際刑事裁判所による予備審査が開始され、同裁判所によってイスラエルの戦争指導者が訴追される可能性が高まりつつあります。また、入植地に関しては、2013年1月に国連の調査団が、全入植地の撤退と入植地ビジネスの終結を勧告する報告書を出し、同年7月には、EUが、入植地にかかわる団体および活動を助成等の対象から除外するガイドラインを公表しました。さらに今年3月には、2013年の国連による勧告を実行するため、国連人権理事会が、入植地活動にかかわるすべての企業についてデータベースを作成し、毎年更新することを決議しました。同決議では、各国政府が自国企業に対し、占領地における人権侵害や入植地ビジネスに関与することによる風評上の、あるいは法的なリスクについて周知することも求められています。
 今後、日本企業の電子機器等がイスラエル企業を介して入植地関連設備(検問所や隔離壁を含む)に用いられるなどした場合、その日本企業の名前が国連の「ブラックリスト」に記載され、国際的な批判にさらされるというリスクが生じることになります。大阪商工会議所の会員であるシナジートレーディング社の場合、2011年にイスラエル入植地で生産されていたソーダストリームという家庭用炭酸水製造機の総輸入元となる契約を結びましたが、国内外からの批判を受け、2年余りで撤退を余儀なくされたということもありました。
昨年の要望書でもお伝えした通り、企業の社会的責任が厳しく問われるようになった今日、日本の企業には、提携先の海外企業が人権侵害や戦争犯罪にかかわっていないかどうか、しっかりと見極める倫理的責任があります。「ビジネスと人権に関する指導原則」において、企業は「取引関係によって企業の事業、製品またはサービスと直接的につながっている人権への負の影響を防止または軽減するように努める」ことが求められていることに留意する必要があります。
 以上の認識にもとづき、以下5点、質問させていただきます。

1.今年3月に派遣された「関西・イスラエル ビジネス交流ミッション」の参加企業名を開示して下さい。また、その際、イスラエル産業貿易労働省と近畿経済産業局との間で締結された「協力覚書」(MOC)の内容を開示してください。

2.この間、多くのイスラエル企業との交流を進められているようですが、それらの企業がパレスチナ被占領地における人権侵害や違法行為に関わっているかどうかについて、国連人権理事会も求めている人権デューディリジェンスに基づく調査をしたことはありますか? また、今後する必要があると考えますか?

3.今年3月の国連人権理事会決議(A/HRC/RES/31/36)では、各国政府が、自国企業に被占領地における違法な入植地ビジネスや深刻な人権侵害に関与するリスクについて周知することを勧告しています。この決議を受けて、これまで何らかの取り組みをされましたか?

4.3月に行われた「関西・イスラエル・ビジネス交流ミッション」について、『日刊工業新聞』は「モノのインターネット(IoT)や、ロボティクス、サイバーセキュリティーをはじめ革新的なハイテクベンチャーが多いイスラエル企業と関西企業が連携し、相互補完関係を築くことでイノベーションにつなげたい考えだ」と報じています。しかし、こうした分野の技術開発は、パレスチナ人に対する長年にわたる占領支配の中で培った軍事・セキュリティ技術と表裏一体のものであることはよく知られています。パレスチナ人に対する日常的な人権侵害や殺戮を背景とした技術の売り込みに協力することに関して、どのようにお考えでしょうか?

5.イスラエル企業と日本企業との交流を進めるにあたり、パレスチナにおける人権侵害や国際法違反、戦争犯罪を助長しないために、これまでどのような配慮をされてきましたか? とりわけ、年内にも締結が予定されているという日本・イスラエル投資協定に関し、パレスチナにおける人権侵害や国際法違反、戦争犯罪に関わる企業活動を裨益対象としないための項目を設けることについて、これまでの交渉の中で議論されていますか? また、そうした項目の必要性についてどのように考えられますか?

以上、文書にてご回答をいただければ、大変ありがたく存じます。また、回答をいただく際、直接お会いして意見交換をさせていただければと思っております。ご多忙とは存じますが、都合の良い日程をお伝え頂ければと思いますので、よろしくお願いいたします。

2016年8月31日

ATTAC関西
関西共同行動
パレスチナの平和を考える会

イスラエルとの経済交流に関する質問書(大阪商工会議所宛)

関西の市民団体3団体が連名で、この間、イスラエルとの経済交流を加速させている大阪商工会議所に質問書を提出しています。何度か電話で催促・問い合わせをしているにも関わらず、大阪商工会議所からはいまだ回答はないとのことです。ここでは、まず質問書の内容を掲載します。

大阪商工会議所会頭 尾崎裕 様

イスラエルとの経済交流と同国のパレスチナ被占領地における国際法違反・戦争犯罪の抑止に関する質問書


 貴職におかれましては益々ご清栄のことと存じ申し上げます。

 さて、昨年11月16日、大阪商工会議所(以下、大商)と近畿経済産業局(以下、近畿経産局)がイスラエル大使館とともに「日本−イスラエル ビジネス交流フォーラム in 関西」というイベントを開かれた際、市民有志が要望書を提出し、パレスチナ人に対する継続的な人権侵害・戦争犯罪を繰り返しているイスラエルと経済関係を深めることの法的・倫理的リスクについて指摘しました。しかし、その後、この指摘が真剣に考慮された形跡はなく、3月5日〜9日には、大商および近畿経産局によって「関西・イスラエル ビジネス交流ミッション」が派遣され、その際、近畿経産局とイスラエル経済産業省との間には「経済協力に関する覚書」が結ばれました。私たちは、中東における公正な平和を願う市民として、この間の関西経済界におけるイスラエルとの関係強化の動きに強い懸念を持つことを改めてお伝えします。

 2012年2月に大商がイスラエル産業貿易労働省(現経済産業省)と交流促進のための共同宣言を結んで以降に限っても、イスラエルは、パレスチナ占領地ガザ地区において二度の大規模な攻撃を繰り返し、2500人以上に上る住民を殺害し、180万人の住民に対する非人道的封鎖を今も続けています。また、西岸地区においては国際法違反である入植地建設を継続し、パレスチナ人からの土地や水等の資源収奪を強化しています。

 このような組織的かつ深刻な犯罪行為が繰り返されていることに対し、イスラエルへの国際的な制裁を求める声が広がっています。2015年1月には、ガザ地区における戦争犯罪に関して国際刑事裁判所による予備審査が開始され、同裁判所によってイスラエルの戦争指導者が訴追される可能性が高まりつつあります。また、入植地に関しては、2013年1月に国連の調査団が、全入植地の撤退と入植地ビジネスの終結を勧告する報告書を出し、同年7月には、EUが、入植地にかかわる団体および活動を助成等の対象から除外するガイドラインを公表しました。さらに今年3月には、2013年の国連による勧告を実行するため、国連人権理事会が、入植地活動にかかわるすべての企業についてデータベースを作成し、毎年更新することを決議しました。同決議では、各国政府が自国企業に対し、占領地における人権侵害や入植地ビジネスに関与することによる風評上の、あるいは法的なリスクについて周知することも求められています。

 今後、日本企業の電子機器等がイスラエル企業を介して入植地関連設備(検問所や隔離壁を含む)に用いられるなどした場合、その日本企業の名前が国連の「ブラックリスト」に記載され、国際的な批判にさらされるというリスクが生じることになります。大阪商工会議所の会員であるシナジートレーディング社の場合、2011年にイスラエル入植地で生産されていたソーダストリームという家庭用炭酸水製造機の総輸入元となる契約を結びましたが、国内外からの批判を受け、2年余りで撤退を余儀なくされたということもありました。

 昨年の要望書でもお伝えした通り、企業の社会的責任が厳しく問われるようになった今日、日本の企業には、提携先の海外企業が人権侵害や戦争犯罪にかかわっていないかどうか、しっかりと見極める倫理的責任があります。「ビジネスと人権に関する指導原則」において、企業は「取引関係によって企業の事業、製品またはサービスと直接的につながっている人権への負の影響を防止または軽減するように努める」ことが求められていることに留意する必要があります。

 以上の認識にもとづき、以下5点、質問させていただきます。

1.2012年2月にイスラエル産業貿易労働省大阪商工会議所との間で締結した「共同宣言」の内容を開示してください。また、それらの内容にしたがって行われてきた活動や今後の予定について教えてください。

2.この間、多くのイスラエル企業との交流を進められているようですが、それらの企業がパレスチナ被占領地における人権侵害や違法行為に関わっているかどうかについて、国連人権理事会も求めている人権デューディリジェンスに基づく調査をしたことはありますか? また、今後する必要があると考えますか?

3.今年3月の国連人権理事会決議(A/HRC/RES/31/36)では、各国政府が、自国企業に被占領地における違法な入植地ビジネスや深刻な人権侵害に関与するリスクについて周知することを勧告しています。この決議を受けて、これまで何らかの取り組みをされましたか?

4.3月に行われた「関西・イスラエル・ビジネス交流ミッション」について、『日刊工業新聞』は「モノのインターネット(IoT)や、ロボティクス、サイバーセキュリティーをはじめ革新的なハイテクベンチャーが多いイスラエル企業と関西企業が連携し、相互補完関係を築くことでイノベーションにつなげたい考えだ」と報じています。しかし、こうした分野の技術開発は、パレスチナ人に対する長年にわたる占領支配の中で培った軍事・セキュリティ技術と表裏一体のものであることはよく知られています。パレスチナ人に対する日常的な人権侵害や殺戮を背景とした技術の売り込みに協力することに関して、どのようにお考えでしょうか?

5.イスラエル企業と日本企業との交流を進めるにあたり、パレスチナにおける人権侵害や国際法違反、戦争犯罪を助長しないために、これまでどのような配慮をされてきましたか?

以上、文書にてご回答をいただければ、大変ありがたく存じます。ご多忙とは存じますが、9月16日までに回答をいただきたく思いますので、ご検討のほどよろしくお願いいたします。


2016年8月31日

ATTAC関西
関西共同行動
パレスチナの平和を考える会

【署名キャンペーン】イスラエルとの無人機共同研究をやめてください!(by NAJAT)

去る6月30日、防衛装備庁がイスラエル無人偵察機を共同開発する準備を進めていることが新聞報道で明らかになりました。具体的には、イスラエルの最大手軍需企業IAI社の「ヘロンTP」がベースとなるモデルとして着目されているといいます(関連リンク)。

この「ヘロンTP」を含め、イスラエル無人機はミサイル搭載が可能であり、パレスチナ被占領地におけるパレスチナ住民に対する超法規的処刑や大量虐殺といった国際人道法違反・戦争犯罪行為に用いられてきたことが、多くの人権団体によって指摘されています。

イギリスの「コーポレート・ウォッチ」は、2014年夏のガザ大虐殺で殺害されたパレスチナ人2200人の内、37%がイスラエル無人機による犠牲者であるとする報告を発表しています(関連リンク)。

このようなパレスチナ人に対する虐殺行為を通じて、実地試験と性能向上が図られてきた兵器を日本が導入することは、人道的道徳的に許されることではありません。イスラエル戦争犯罪に対する国際的批判の高まりの中、今年2月にはフランスが、確実視されていたイスラエル製ドローンではなく、国産ドローンを購入する決定をするといった動きもありました(関連リンク)。

すでに、日本では「武器輸出反対ネットワーク」(NAJAT)による署名キャンペーンが開始されています。ぜひこの署名キャンペーンの拡散にご協力ください。

【署名】イスラエルとの無人機共同研究をやめてください!(武器輸出反対ネットワーク)