ソーダストリームのどこが問題?

ソーダストリーム社は、2015年12月の段階で、パレスチナ西岸地区の工場を撤退させました。これは、日本における当キャンペーンを含む国際的なBDSキャンペーンによる成果であると考えられます。しかしながら、ソーダストリームの工場の移転先であるナカブ(ネゲヴ)地域のイダン・ハ=ネゲヴ工業団地も、パレスチナベドウィン強制移住政策を背景として建設された施設であり、ソーダストリーム社によるイスラエルアパルトヘイト政策への関与が終わったとみなすことはできません。したがって、当キャンペーンは今後も当面継続しつつ、活動の重心をどこに置くべきか、改めて検討していきたいと考えています。

以下の記述は活動の記録としてご理解ください。


家庭用炭酸水製造機ソーダストリームが、2011年秋より日本で販売され、大手百貨店やテレビ通販などでヒット商品となっています。

しかし、このソーダストリームを購入する人のほとんどは、この商品が、国際法上違法とされているイスラエルの入植地で製造されているということを知らされていません。このソーダストリームの問題をもう少し詳しく見ると、以下の4点を指摘することができます(より詳しい背景情報を知りたい方は、冊子『ソーダストリーム―イスラエル違法入植地ビジネスの実態』をぜひご注文ください)。

1) ソーダストリームは、違法なイスラエルの入植地でつくられています。

ソーダストリームの炭酸水製造機は、パレスチナ被占領地のなかにあるマアレ・アドミーム入植地内の工場で作られています。占領地における入植地建設は、ジュネーブ第4条約によって禁じられている戦争犯罪です。入植地をつくるということは、パレスチナ人の土地を奪い、そこに住む人々を追い出すということを意味します。そのことによって、ソーダストリームは、入植地内の工場用地を破格の低コストで借り受けることができています。

2) ソーダストリームは、パレスチナの環境を破壊しています。

ソーダストリームの工場から出る廃棄物は、パレスチナ被占領地内のゴミ投棄場に捨てられています。一般的に、入植地から出される廃棄物は、イスラエル国内で適用される環境保護のための制限を受けません。アブー・ディスというパレスチナ人の町のすぐ近くにあるこのゴミ投棄場は、周辺住民の住環境を著しく汚染しています。この点においても、ソーダストリームは、パレスチナ人を犠牲にすることによって、より少ない経費で工場を操業しているのです。

3) ソーダストリームは、パレスチナ人労働者を搾取しています。

ソーダストリームの工場で働くパレスチナ労働者たちは、イスラエル国内で適用される最低賃金を大きく下回る条件を押し付けられています。不満を訴えるパレスチナ人労働者は、一方的に解雇されてきましたが、彼らには団結権が認められていません。ソーダストリームは、占領下で弱い立場にあるパレスチナ人からの搾取によって、ビジネス上の利益を得ているのです。
※この問題が批判を浴びるようになってから、労賃に関しては改善されたようです。しかし占領下のパレスチナ人労働者が極端に弱い立場に置かれていることに変化はありません。(参考)ソーダストリーム工場の現実:酷使されるパレスチナ人労働者

4) ソーダストリームは、消費者を騙しています。

ソーダストリームのパッケージには、「Made in Israel」という原産地表示がありますが、これは産地偽装です。なぜなら、日本政府をふくむ国際社会の立場は、パレスチナ被占領地につくられた入植地はイスラエル領として認めない、というものだからです。輸入代理店であるシナジートレーディング社は、少なくとも、この商品がイスラエルの入植地で生産されているということを消費者に明示する義務があります。現在の販売方法は、消費者に誤った情報を伝えるものであり、景品表示法違反として排除勧告の対象となる可能性をもつといえます。
※2013年に入り、「Made in Israel」の表示がないパッケージや、「Made in Mishor」と表示されたパッケージの商品も一部出回っているようです。もちろん、ソーダストリームが人権侵害商品であることには変わりはありません。