ソーダストリーム輸入代理店に質問書を送付!
「パレスチナの平和を考える会」による下記質問書に対し、今のところ、シナジートレーディングからは回答はありません。その後、電話やメールで何度も問合せをしていますが、やはり回答はいただけていません。
株式会社 シナジートレーディング
代表取締役 原中俊広 様
ソーダストリーム運営責任者 森田直樹 様
イスラエルの違法な入植活動に加担するソーダストリーム販売に関する質問書
私たちは、イスラエルによるパレスチナ人への人権侵害の問題について取り組んでいる市民団体「パレスチナの平和を考える会」です。
貴社、株式会社シナジートレーディングは、昨年の2011 年10 月より、イスラエルのソーダストリーム社の日本総輸入元となり、同社製品の日本での宣伝・販売を開始されました。私たちは、このことについて、発表の当初より大きな疑念と深い憂慮を感じずにはいられませんでした。それは、ソーダストリーム社が、イスラエルによるパレスチナ人の人権侵害に深くかかわる企業だからです。この度は、そうした問題に関しての貴社の認識とご対応について、ぜひ明らかにしていただきたく、また同製品の早期販売中止と事業撤退を求めて、質問書をお送りさせていただきます。
貴社が販売されているソーダストリームの「ソーダメーカー」およびその関連製品は、ミショル・アドゥミーム(Mishor Adumim)という工業団地の工場でおもに生産されています。そのことは自体は、総輸入元として当然ご存知のことと思います。では、このミショル・アドゥミーム工業団地が位置しているのが、1967 年の第3 次中東戦争のさいにイスラエルが占領支配した、ヨルダン川西岸のパレスチナ被占領地内の入植地であるという事実は、理解していらっしゃるでしょうか?
こうした入植地は、イスラエルの軍事占領のもと、パレスチナの人々を強制的に追い出し、土地や水資源を略奪して作られたものです。もちろん占領地域での入植活動は、ジュネーブ条約第4 条などの国際法で厳しく禁じられており、イスラエルは、国連や国際社会から長年にわたって非難と抗議をうけています。にもかかわらず、今にいたってもイスラエルは、入植地の活動とその拡大を継続しています。ソーダストリーム社は、このような違法とされている入植地に拠点を置く企業です。ですから、ソーダストリーム製品を販売することは、イスラエルによるパレスチナ人への人道に反した政策に加担し、同国の国際法違反を見過ごすことにつながる、とわたしたちは考えています。
これは、けっして抽象的なことではありません。実際、ソーダストリームは、ミショル・アドゥミーム工業団地というパレスチナから略奪した土地で操業しているおかげで、借地料や水・電気を安く利用できるのです。また、軍事占領のため法規制をほぼ受けない状況のもと、最低賃金をはるかに下回る苛酷な条件でパレスチナ人を働かせています。そして、占領の継続と入植を押し進めるイスラエル政府からは、税制面での優遇も受けています。このように違法で、道義的に問題となるあり方によってこそ、ソーダストリームは、自社製品の製造コストを下げ、利益を生み出しているのです。
繰り返しますが、貴社、株式会社シナジートレーディングが、「ソーダメーカー」などのソーダストリーム製品を販売し、そこから利益を得ることは、ソーダストリームの略奪と搾取に基づいた事業に加担することであり、公正な企業活動とは認めがたいものです。また、入植地企業との取引は、イスラエル国家によるパレスチナの占領とパレスチナ人への人権侵害を容認し、間接的に支えるものになっています。実際、パレスチナやイスラエル、欧米諸国の市民団体からは、そうした観点にもとづいて、ソーダストリーム社への抗議の声が上っています。
とくに貴社に直接関わることとしては、製品の不当表示の問題があります。たとえば欧州諸国の税関当局は、イスラエルの入植地産製品が「原産国:イスラエル」と偽装表示されていることを問題にしてきました。私たちが確認した限りでは、貴社によるソーダストリーム製品も、原産国を「イスラエル」と表示していたかと思います。これは日本の国内法である「不当景品類及び不当表示防止法」に違反する疑いがあります。ソーダストリームの工場があるミショル・アドゥミーム工業団地は、あくまで「パレスチナ被占領地域」にあたり、いわゆる「イスラエル領内」ではありません。
ソーダストリームとおなじく、イスラエル入植地製品である化粧品の「アハバ AHAVA」が、今年の1 月末に日本での販売から撤退しましたが、それに関して、当会が外務省に問合せたことがあります。外務省からは、「ヨルダン川西岸の入植地は、イスラエルではない。入植地製品の『原産国:イスラエル』という表示は、問題となる可能性がある」との回答があり、日本政府としての認識を明確にしています。つまり、貴社がソーダストリーム製品を「イスラエル」という不当な原産国表示で販売継続するようであれば、景品表示法違反により排除命令(措置命令)の対象となるかもしれないのです。
ただし、ここでしっかりと受け止めていただきたいのは、貴社が排除命令を受けるかもしれない、ということよりも、イスラエルが国際法を無視して入植活動を行い、パレスチナ人の生活や自決権を奪い取っている現実のほうです。こうした製品表示は、イスラエルが政策的におこなっているパレスチナ人への差別と徹底排除(民族浄化政策)をおおいかくすことにほかならないのです。
まだご記憶に新しいと思いますが、2008 年末から2009 年年明けにかけて、イスラエル軍は封鎖されたガザ地区に大規模攻撃を行い、子供や女性、多くの民間人を含む1400 人以上を虐殺しました。このガザ戦争について、イスラエルはいまだに裁かれずにいます。そして、国際社会からの非難の目をごまかそうとするかのように、イスラエルは自らを経済的・文化的な国であると、しきりに演出をおこなっています。貴社が扱っているソーダストリーム製品も、イスラエルのイメージ戦略に一役買うものといえます。企業の経済活動がイスラエルの戦争犯罪をおおいかくし、免罪させるようなことがあってはならない、と私たちは考えています。
以上のとおり、ソーダストリームの企業活動とその製品販売にまつわる問題点を指摘させていただきました。そのうえで、貴社に以下の5点に関して、質問をさせていただきます。
1.ソーダストリーム製品の日本総輸入元として、同社と契約するにいたった経緯は、どのようなものだったのでしょうか? 問題のないかぎりで結構ですので、お教えください。
2.ソーダストリーム社が、イスラエルの入植地政策に乗っかった企業であり、パレスチナ人への人権侵害と差別にどのように関わっているか、ご理解をいただけましたか? また、貴社がソーダストリーム製品を販売することが、イスラエルの占領・入植政策に加担することになることを、認識していただけましたでしょうか?
3.ソーダストリーム製品を「イスラエル産」と称することが、不当な表示に当たり、国内法の「景品表示法」においても違法性があることを、ご理解いただけましたか?
4.以上のように、ソーダストリーム製品の取り扱いと販売からは、まったく公正なビジネスを望むことができないことが明らかだと思います。貴社が「Synergy Vision」として掲げる「誠実でFair、謙虚でありBUSINESS が大好きな『真摯な商人(あきんど)企業』をめざします」という企業理念からも大きく逸脱していると思われますが、この点をどのようにお考えでしょうか?
5.早期にソーダストリーム製品の販売から撤退されることを、わたしたちは望んでいます。このことについて、貴社の率直なお考えをお教えいただけますでしょうか?
以上の質問に対して、貴社が誠実に回答されることを要請いたします。
もし、指摘させていただいたソーダストリームの問題点やイスラエルの占領政策、パレスチナ人への人権侵害について、貴社のほうでまだ十分にご理解いただけないようでしたら、ぜひその旨をお知らせください。当会のほうから、より詳しい説明をさせていただく準備があります。また、すぐに販売中止に踏み切れないご事情などがある場合、私たちは、問題の解決に向けて、貴社と話し合いを持ちたいと考えています。
なお、4 月20 日金曜日までに、回答を当会宛にいただけますようお願いいたします。貴社からのご回答を心よりお待ちしております。
2012年3月30日
パレスチナの平和を考える会