ソーダストリーム工場の現実:酷使されるパレスチナ人労働者


ソーダストリーム工場があるパレスチナ西岸のミショール・アドミーム工業団地(マアレ・アドミーム入植地内)


違法イスラエル入植地内の工場で炭酸水製造機を作っているソーダストリーム社は、最近、「ソーダストリーム:壁ではなく橋を築く」と題したプロパガンダ用ビデオを制作し、世界中に拡がりつつあるボイコット運動を封じようとしています。

ビデオのなかで、CEOのダニエル・ビルンバウム氏は、工場で働くパレスチナ人労働者たちと古くからの友人であるかのように親しげに言葉を交わし、ソーダストリームの工場を、パレスチナ人とイスラエル人が共に働く「民族共生の聖域」と自画自賛しています。

しかし、このビデオに出演したパレスチナ人の一人「M」は、「エレクトロニック・インティファーダ」のインタビューに応じ、その内幕を明らかにしました。長年ソーダストリームの工場で働いてきたMは、ビルンバウム氏を見るのは初めてのことだったと言います。そして、ビデオに出演したパレスチナ人労働者たちには、何をどのように話すべきか、事前に指示を与えられていたことも明かしています。工場の幹部は皆イスラエル人で、800〜850人いる労働者の9割以上がパレスチナ人とのことです。ソーダストリーム社CEOにとっての「民族共生」とは、占領者と被占領者との間の主従関係を意味するようです。

また、ビデオでは、ムスリムの労働者達のための「礼拝用の部屋」が映され、あたかも礼拝の自由が保障されているかのように演出されていますが、Mによると、その部屋はただのロッカー室で、礼拝の時間が、たまたま昼食休憩に重なりでもしない限り、生産ラインを抜けて礼拝することは許されていないとのことです。工場の監督によって礼拝用の絨毯が持ち去られてしまったこともあるそうです。

さらにMは、ビデオでは隠されているソーダストリーム工場の驚くべき労働条件についても語っています。工場は、1日12時間労働の2交替制で、4日間働いて2日間休むという「4-2システム」(週平均56時間労働)が男女にかかわりなく採用されています。これは、週平均45時間を超える労働を禁じるイスラエルの労働法に違反しています。また、夜勤手当が出ていないことも、やはり労働法違反にあたります。こうした過酷な環境で、労働者が体調を崩し、休みを取ると、警告もなく、翌日解雇されるというケースが後を絶たないとのことです。このような非人道的なソーダストリーム工場の実態について、「彼らは私達を奴隷のように扱っている」とMは表現しています。なお、占領下のパレスチナ人労働者に団結権は認められていません。

パレスチナ人の土地を奪い、入植地を作り、そこで生活の糧を失ったパレスチナ人を低賃金で働かせ、利益を得る。この非道な搾取のシステムに、東急ハンズをはじめとした日本のソーダストリーム販売小売店も加わり、利益を得ているのです。


■参考
ソーダストリームのどこが問題?
何ができる?
ソーダストリーム回収キャンペーン:知らずに買ってしまった!という方へ