シナジートレーディング社がソーダストリーム事業からの撤退を発表

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イスラエル・アパルトヘイト週間2014 in 東アジア
2014年3月27日〜31日

2011年秋より、違法イスラエル入植地製品ソーダストリームの総輸入元を担ってきた株式会社シナジートレーディングは、2014年3月末で、同製品の輸入事業から撤退し、新たに設立された「ソーダ・ストリーム株式会社」(東京都渋谷区、代表取締役笈川義徳)に事業移管することを発表しました。
「SodaStream 事業移管に関するお知らせ」(PDFファイル)

■業務を引き継ぐ「ソーダ・ストリーム株式会社」とは?

ソーダ・ストリーム株式会社」は、イスラエルソーダストリーム社(SodaStream International Ltd.)の日本法人であるということです。すでに今年2月26日、ソーダストリームイスラエル本社のダニエル・ビルンバウムCEOは、「Seeking Alpha」という投機情報サイトの記事で、シナジートレーディング社がソーダストリーム社との契約に沿った成長戦略を行っていないことを理由として、日本において支社を立ち上げ、直接の販売業務に乗り出す意向を明らかにしていました。

このソーダストリーム日本支社の社長に就任した笈川義徳氏は、2007年から10年にかけて、カプセル型内視鏡を開発・販売するイスラエル企業、ギブン・イメージング社の日本支社でも社長を務めた経歴の持ち主です。この会社は、イスラエル国防省でミサイル開発を行っていた技術者によって設立されたことでも有名です。笈川氏は、長年イスラエルで通信員を務めた元新聞記者を父親にもち、彼自身、イスラエルの大学で学び、イスラエル人女性と結婚しています。つまり、特別な政治的バックグラウンドを持たない(と思われる)シナジートレーディング社とは異なり、パレスチナ問題や入植地問題等について、イスラエル側の立場から十分理解している「インサイダー」であるといっても良いでしょう。

■背後に垣間見えるボイコット・キャンペーンの影響

ところで、ビルンバウム氏が2月段階で述べた、シナジートレーディング社の契約違反が業務移管の理由であるとする説明はそのまま受け止めて良いのでしょうか? 2013年度の日本における業績悪化が事実であるにせよ、それまでは、雑誌やテレビでの精力的な商品紹介によってまずまずの販売実績をあげてきたシナジートレーディング社との契約を、わずか半年余りの経過観察で打ち切るのは余りにも不自然です。

むしろ、パレスチナ占領に加担するソーダストリーム社に対する市民からの批判の高まりを受け、シナジートレーディング社の側が撤退を希望したと考える方が自然であるように思われます。もちろん、「シーキング・アルファ」の記事でも、「業務移管に関するお知らせ」でも、そうした内実については一切言及されていません。しかし、日本における小売業界において何の実績もない人物を、ただシオニズムに親和的であるというだけの理由で社長に担ぎ出さざるを得なかった(ように思われる)状況自体、今回の業務移管が、やむを得ずの措置であったことを傍証しているように思われます。

■自己正当化に奔走するイスラエルアパルトヘイト・ビジネス

ソーダストリーム社は、イスラエルの違法入植地に工場があることが批判され始めた当初、ミショール・アドミーム工業団地の工場は、いくつもある工場の中の一つに過ぎないことを強調し、軍事占領下にある西岸地区の外に工場を移転する可能性さえも示唆していました。しかし、ボイコット運動の拡がりが、イスラエル政府においても危機感をもって受け止められるほどになると、パレスチナ人を雇用していることをもって、入植地の工場を「共生の架け橋」だと強弁し、パレスチナ人から強奪した土地に工場をもっていることを積極的に正当化するようなりました。

とりわけ今年に入ってからは、ソーダストリームのブランド大使となったことで批判を受けたハリウッド女優スカーレット・ヨハンソンが、人道支援団体オックスファムの親善大使を辞任したことについて、在米シオニスト団体サイモン・ウィーゼンタール・センターやネタニヤフ首相までもが褒め称えるなど、ソーダストリームは、イスラエルパレスチナ入植地政策のシンボルとなった観があります。

このようなソーダストリームの国策会社化に、シナジートレーディング社が付いていけないと感じたとしても不思議ではありません。私達「ストップ!ソーダストリーム」キャンペーンは、それが積極的選択であるにせよ、消極的選択であるにせよ、人権侵害商品ソーダストリームの輸入販売事業から早々と撤退することにしたシナジートレーディング社の選択を高く評価したいと思います(ただし、不可解なことにシナジートレーディング社は、3月上旬段階ではソーダストリームの取扱を4月以降も継続すると電話での問い合わせに対して答えているので、発表通り本当に完全撤退するのか、引き続き経過観察する必要はあるように思います)。

ソーダストリームの販売中止はいつ?

さて問題は日本におけるソーダストリーム販売(中止)の展望です。2014年の日本におけるソーダストリーム販売が危機的状況に陥る可能性に言及している投資家向け記事もあります。とりわけ、入植政策の擁護とボイコット運動への強硬姿勢を積極的に打ち出すイスラエル本社の方針を、日本支社がどれだけ踏襲するかは注目されるところです。

いずれにせよ、ソーダストリームイスラエルアパルトヘイト犯罪への加担商品であることが日本社会において周知されるにつれ、また、ソーダストリームそのものの物珍しさが失せるにつれ、この商品の販売を中止する小売店は徐々に増えてくるものと思われます。販売店舗の減少は、ガスシリンダーの交換が難しくなることを意味するので、相乗効果的にソーダストリームの「魅力」は減少していかざるを得ません。ソーダストリームの日本撤退は案外早いかもしれません。

もちろん、日本の市場開拓に直接乗り込んできたソーダストリーム社が、テレビCMへの進出などを通じてこれまで以上に売上をのばす可能性もないわけではありません。イスラエル大使館による様々なバックアップも考えられます。つまるところ、違法入植地製品ソーダストリームの販売中止は、市民による批判の声が今後どれだけ高まっていくかの一点にかかっていると言えます。とりわけ、消費者に近い位置にあるはずの百貨店や電気量販店などの小売企業に対して、ソーダストリーム販売中止を求める市民の声を集中させることが重要でしょう。アパルトヘイト時代の南アフリカに対し国際的なボイコットを無視して、最後まで同国との貿易継続に腐心した「人権後進国」日本の在り方を変えなければなりません!


ソーダストリームの事業移管に関する問い合わせ先は下記の通りです。
TEL:0120-286-230 (平日・土曜日 10:00〜12:00/13:30〜17:00)


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