2014年:躍進するボイコット運動と迷走するソーダストリーム社


違法イスラエル入植地製品ソーダストリームを破壊するサンタクロース(オスロノルウェー

2014年は、51日間にわたるガザ攻撃などパレスチナでは厳しい状況が続きましたが、国際的なソーダストリーム・ボイコット運動が大きく前進した年でもありました:

1月●ハリウッド女優スカーレット・ヨハンソンソーダストリームとの広告契約を理由として人道NGOオックスファムのグローバル大使の辞任に追い込まれる
4月●シナジートレーディング社(日本)、ソーダストリームの代理店業務終了を発表
4月●環境団体「アース・デー」、ソーダストリームとの提携関係を解消
6月●2年にわたる抗議デモの結果、ロンドンのソーダストリーム専門店が閉店
7月●イギリスの老舗百貨店ジョン・ルイスソーダストリームの販売を中止
7月●期間限定で予定されていた表参道の「ソーダ専門店」が市民の抗議で出店中止
9月●アメリカの大手百貨店マーシーズがソーダストリームの販売を中止
10月●ソーダストリーム社、2015年末までの西岸地区からの工場撤退を発表

他方、ソーダストリーム社の業績は、第3四半期のソーダメーカーの売上台数が2013年度と比べ32%減となるなど劇的な落ち込みを見せています。株価(NASDAQ)は、50ドルから19ドルにまで落ち込み、多くの投資アナリストがソーダストリーム株の売却を推奨し始めています。バブルがはじけ始めているといってよい状況のなか、CEOのダニエル・ビルンバウムは、これまでのコーラやペプシに替わる炭酸飲料のオルタナティブという宣伝戦略を変更し、「(炭酸)水会社」として売り出そうとしているようですが、株価の下落は止まりません。

ソーダストリーム社は、ボイコット運動の圧力を受け、現在イスラエル領内のネゲブ砂漠にある工業団地に新工場を移転しようとしています。しかし西岸地区と同様、ネゲブ砂漠もまた、パレスチナ人に対する民族浄化政策が集中的に行われている地域です。ガザ地区と西岸地区、さらにエジプトをつなぐ戦略地域ともいえるネゲブ砂漠には、イスラエル建国時の追放政策を免れたパレスチナベドウィン達が、政府の定住化政策に抵抗しながら生活を続けています。彼らの土地を奪い、強制的に狭い集住地区に移住させる政策の一環として作られたのが、ソーダストリーム工場の移転予定地であるイダン・ハネゲブ工業団地です。結局、イスラエル政府が企業誘致に力を入れ、優遇措置を取っているような土地は、パレスチナ人への民族浄化政策と密接に結びついている土地なのです。また、現在、西岸地区の工場で雇用されているパレスチナ人労働者の処遇も大きな懸案事項となっています。

こうした状況の中、2014年も11月から12月にかけての「ホリデーシーズン」に世界中でソーダストリーム・ボイコット・アクションが取り組まれました。以下、そうした活動のごく一部を紹介します。

ベルリン/ドイツ(11月29日)

ダルース/米国(12月6日)

ウェストチェスター/米国(12月13日)

オスロノルウェー(12月16日)

マルセイユ/フランス(12月20日

ミラノ/イタリア(12月20日

ローマ/イタリア(12月21日)


【関連記事】
《ボイコット・イスラエル》マラソンデモ・43日間の軌跡

【参考記事】
ソーダストリームのどこが問題?
何ができる?
ソーダストリーム回収キャンペーン:知らずに買ってしまった!という方へ
ソーダストリームが違反している可能性のある国内法規

【お薦め動画】
パレスチナからのメッセージ:ソーダストリームを買わないで下さい。
なぜソーダストリームを買ってはいけないのか? ―パレスチナ人にとっての入植地
なぜソーダストリームを買ってはいけないのか? ―パレスチナ人にとっての入植地(その2)
なぜソーダストリームを買ってはいけないのか?(その3)
なぜソーダストリームを買ってはいけないのか?(エドワード・サイード編)